かれいなる転身
カラスガレイのバジルソース焼き
カラスガレイ(解凍)は一度十分に解凍しておき塩をする。
出てきた水をざるに乗せて取ると更に丁寧である。
バジルソース(市販)を塗り暫し置く。
オリーブオイルを敷いたフライパンにて焼く。
付け合わせにクレソン、バジルを添えて・・・・・・・・・・・・・別の物でも良し。
ふざけて暖かい半熟卵を添えて黄身に絡めても美味。
白ワイン(テーブルワイン)で食べるのが良い。
日本酒も捨てがたい。
バケットにのせても美味美味。食パンだと甘すぎるか・・・・・・・・・・・
私がいくら転身をしても泥臭い生き様しかできませんのでタイトル詐欺となりましょう。その辺に対する突込みはご容赦あれ、作者@流しの魚屋でございます。今日は鰈について騙りましょう、加齢でも家令でもありません鰈です。鰈の匂いを以てかれいしゅう等と言われると泣けるのでやめてください。
鰈という魚、なんというか魚らしくございません。座布団みたいな平べったさに、左右非対称な顔つき、一応鰭とかあるので魚と認識されるのですがムスリム(イスラム教徒)に『ハラル(イスラムの食戒律)に大丈夫なのか?』と突込みが入ったことがございます。一応鱗がある魚なので大丈夫というう見解を示しておりますがあまり見向きもされませんな。そのくせチョウザメはどうなんだという突込みを私の方から致しますと、ちょっと前に『鱗の痕跡がありました。』等と・・・・・・・・・・・・その辺は置いときましょう。中国人やら欧米系が魚食い始めて我々の食べる分を圧迫しておりますのでこの上でムスリムにまで食われたら日本人の食べる部分が・・・・・・・
話がそれました、鰈という魚は平たい魚でありまして食べ方としましては種類にもよりますが焼き物煮物揚げ物蒸し物と色々楽しむことができるのでございます。もちろん鮮度がよろしければ刺身等も美味でございましょう、個人的には少し身が柔らかいのでこぶ締めとかにしてもらえると身が締まってうれしゅうございますが。他にはミズガレイとかヤナギガレイといった種類は干物にされると美味ですし、三枚おろしに致しましてバタ焼きなんて言うのもおいしいです。白身のくせのない魚でありますので大抵の調理法に合うのでございます。
お客様の中にはこだわる方もおられまして卵を持っているものでないと煮物は嫌だとか、卵だけ別に煮てから楽しむとか、逆に卵は嫌だとか祝えるお客様がおられます。はっきり言って客の好みが分かれてその時々の状態で売り方を変えないといけない魚というのが鰈なのでございます。これは面倒でございますが楽しいことでもあります。なんといっても魚屋の目利きが存分に試されるのでありますから・・・・・・・・・・
もっとも、最近のお客様は鰈は冷凍ものを頼むことが多いので私の出番が・・・・・・・・・もっとください。
類縁種のヒラメと比べますと身が柔らかく水っぽい印象が持たれますが干したり煮たり致しますと本当に美味でございます。種類によっては養殖もされておりますし(松皮:王鰈)高級料理に使われている種類もヤナギガレイや城下鰈(九州地方で取れる眞子がれい)等もこんな値段でと言われる価格で取引されております。実際に美味でございますが、貧乏な私の懐事情では・・・・・・・・・・・・誰ですか?酒をやめればすぐ手に入るだろうと言われる方は?酒と肴は一緒に楽しむものでございましょうに・・・・・・・
たまに高級鰈が手に入りますと少々気合が入ったり致しますのは私の業の深さというか・・・・・・・・ですから捌き甲斐があると包丁片手ににやりと笑っても引かないでください。親御さんが引くと子供さんまで包丁人怖いと印象が植えつけられますから。だから切っていて気持ちいいという表現をしてもキチガイ扱いしないでください変態扱いしないでください。泣けてきます。
「いや、包丁を研ぐときの真剣すぎる姿なんか怖いから。」
「気合い入れているときの赤ら顔は鬼気迫っているから・・・・・・・・・」
「ばろちゃん(仮名)は、適当な事言いながらふざけて包丁振るっている位が良いから。接客対面の場所にいるときは・・・・・・・・・」
私泣いて良いですか?
鰈と言う魚は食べ方が限定されていると思われがちで、ほとんどのお客様が煮物か揚げもの(小ぶりな物に限る)と思われておりますのが一番難しい所でございます。実際私も魚屋を始める前は鰈は煮物以外食べたことないのですからお客様の事を無知と言う事は出来ないでしょう。
ちょっとした切り身を手に入れたときに軽く塩してから水気を抜いて粕やら味噌を塗って漬け込んでも美味しい物であります。少々子持ちの部分だと焼いた時にはじけたりも致しますがこれもまた面白い食感で悪くはないと・・・・・・・・勿論卵が苦手だとか避けておきたいと言われるお客様もいらっしゃいますので異論は認めます。卵はカロリー高いですから・・・・・・・・・
冷凍の鰈の切り身などでもフライにしたりムニエルにしたり・・・・・・・・煮物以外でも美味しい物ですね。漬魚にしても悪くありません。これ一つあれば一升くらいは軽くいけてしまいます。そんなおふざけで色々作る事もあるのですけど、受け入れられることは中々ないですね。その癖思い出したかのようにこれはないのと言われるのがお客様なのですけど、ちょっと前にあったじゃないと言われてもいつの事ですか?
「それ、三年程前に一度出したっけ(笑)」
それ、ちょっと前って言わない!私居なかったし!わかるかっ!
「そんとき、にーちゃん居なかったっけ?」
いないから!俺この店一月前に入ったばかりだ!
「ずっと昔からいる物だと思っていた。」
確かに私の馴染み具合は古株と勘違いされるんだが・・・・・・・・前居た職人さんは年寄りで禿げていたでしょう。
「にーちゃんの頭も人の事言えないから。」
ぐはっ(吐血)
俺は禿げていないんンだ。剃っているんだ!禿げっていうなスキンヘットだ!
「スキンヘットでスーツ着て色付きメガネかけて通勤していれば堅気に見えないから。しかも包丁持参でしょう・・・・・・・・・・・どう見てもその筋の人とか犯罪者。」
ひどい・・・・・・・・
話を戻しましょう、鰈の切り身も人によって大きさにこだわりがあるものでして大きくなければダメな人とか大きすぎると食べきれないと嫌がるお客様、一尾丸のままに意義を感じる方とかもいらっしゃるのでございます。
結構わがままに注文されますので全部切り身にせずに一尾位はある程度残しておいて飾る事をしないと残念がってしまうのでございます。実際に大きめに切ったら小さくしてくれとか、小さいと大きな切り身はないのとか・・・・・・・・・・・他の切り身でもよくあることなのでございますけど、ブリや鮭あたりだとグラム売りですので鰈だと一尾いくらなので計算が面倒面倒。とは言え、注文されればお受けいたしますけどね。一尾を三切れに切って頭側を要らないとか(頭側は内臓の分だけ空洞になるから重さがない)一尾を五切れに切って頭側と尻尾側以外を貰うとか色々細かい注文されるお客様が・・・・・・・・・・
「それ、ばろちゃん(仮名)が甘やかしているからでしょ。」
御説御尤も、でもそのお客様上客だから・・・・・・・・
「購入金額大きいけど、ばろちゃん(仮名)の時以外来ないじゃない。」
その店の契約が終わった途端そのお客様の姿を見た物はいない・・・・・・・・・・・
「おきゃくさまをバットエンドにするな!」
単にお客様に離れられただけでしょう。私の所属でないから別に関係ないけど(笑)
今日でおわカレーとか言って最終回ネタにすればよかった!
と今更ながらに後悔(笑)
ワインでもやって眠ろう。




