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Ib〜序章おまけ〜倒れていた理由

作者: 森野カエル

「そっち行ったわよ!回り込んで!」


赤い服の女の指示で無個性達が走る。

無個性達に回り込まれて右の通路を塞がれ、紫色の髪の人間は左の部屋に入った。

慌てていたのか、ドアは開けっぱなしだ。

後を追って、無個性達も部屋に入る。

この先はもう一つ部屋があるだけだ。

ようやく人間を追い込んだ。


「それを寄こせえええ」


赤い服の女が青い薔薇を狙う。

跳び付こうとしたが人間にかわされた。


「そんなに欲しいなら」


人間が青い薔薇を振り上げる。


「取りに行けばいいわ!」


奥の部屋に青い薔薇を投げ入れた。

それを追って青い服の女が部屋の中に入る。


「引っかかったわね!」


人間はすぐにドアを閉めた。

刺さりっぱなしだった鍵を引き抜く。

人間の行動に無個性達は驚いて動きが止まった。

その隙に人間は部屋を出て行った。


「ふ、ふふ。バカな人間」


赤い服の女は高らかに笑う。


「あの薔薇がどんな物か知らないのね」


青い服の女が閉じ込められた部屋の窓から、赤い服の女が呼びかける。


「聞こえている?その薔薇を毟っちゃって」


部屋の中から、青い服の女の返事が聞こえた。


「これで動きが止まるわね」


皆で人間の後を追う。

部屋を出ると、通路の先のドアが開いていた。

ドアの向こうはまだ通路が続く。


「いたわ」


その通路で人間は倒れていた。

近寄っても動く気配はない。


「どうやら薔薇が効いたようね」


他の美術品達も集まってくる。


「男か女か。確かめましょう」


人間を美術品達が取り囲んだ。






五分後。


「おーほっほっほ。私の勝ちね」


せきをする男が項垂れている。

赤い服の女は無個性に持ち上げられながらふんぞり返っていた。


「だから男だって言ったじゃない」


赤い服の女がせきをする男を見下す。

これがしたいが為に、無個性に持ち上げてもらっていた。


「さあ!土下座して謝って貰いましょうか!」

「ぐぐぐ」


せきをする男が土下座した。


「申し訳ございませんでした」


土下座を見て、赤い服の女はさらにふんぞり返る。


「もう私には逆らわない事ね!おーほっほっほ」


赤い服の女は最高に喜んでいた。


「性別も分かった事だし、これからどうしようか」


さすがにせきをする男が可哀想になった吊るされた男は話を変える。


「そういえば、もう一人迷い込んでいる人間がいるらしいよ」


他のフロアの美術品から報告が入っていた。


「あら、そうなの?珍しいわね」


絵の中に誘い込む人間はいつも一人だった。

一人の方がより恐がらせる事が出来る。


「この人間の性別もはっきりして用はないし、今度はその人間を脅かしてやりましょう」


赤い服の女に皆が同意し、通路を移動した。

紫色の髪の人間は一人通路に取り残された。

この通路に女の子が通りかかるのは、もう少し後の話である。

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