私の片想いが実らない理由
私の片想いが実らない理由。
その1 小野さんはかなりのイケメンである。
その2 そのうえ、小野さんはかなりの面食いである。
その3 さらに、小野さんはかなりの遊び人で。
その4 私は小野さんと2回寝てしまった。
どうしようもない人を好きになってしまったと、私、ワタナベは後悔するばかりである。
しかし、私自身どうしようもない人間なので、小野さんのことを悪くは言えない。
なぜなら、好きになったのは初めて一夜を共にしたあとなのだ。
ただイケメンだからという理由で小野さんの誘いを拒まなかったのだから、
実は私は、結構軽い女なのかもしれない。
自分としては、イケメンとしか寝ないというプライドは一応あるのだけれど。
そんなどうしようもない私が、どうしようもない男に惚れた理由は彼の寝顔にあった。
4つも年上のくせに、寝顔だけは子供みたいで、
寝ぼけてぎゅっと抱きついてくる彼につい愛おしさを感じてしまった。
好きになってはいけない人だと一線は引いていたはずなのに、
彼の頭を撫でているうちにどうやらその線を越えてしまったらしい。
だから恋というものは嫌いなのだ。
したくもないのに、いつの間にか落ちている。
そして、自分をコントロールできなくなって、ブレーキがきかなくなる。
再び彼と寝たのはその2週間後。
脈がないのはその日の夜にわかった。
体を重ねれば、気持ちはわかってしまうものだ。
それは彼も同じだったのかもしれない。
私の気持ちがばれたのか、ただ単に飽きただけなのか。
それ以降彼から連絡はない。
こちらから連絡しても返っては来ない。
これは 私の片想いが実らない理由その5 になる。
はてさて、どうしたものか。
実らないからといってやめられないのが恋愛だ。
あぁ、これだから本当に恋というものは面倒くさい。
きっと小野さんのことだ。
今頃また違う女の子に手を出しているのだろう。
そして私は、今のところ小野さんのいない日常を精一杯生きるしかないのである。
軽い私のことだ。きっと誘われたら他のイケメンとも体を重ねるだろう。
そして、終わったあとに「やっぱり小野さんがいいな。」なんて感傷に浸ったりするのだ。
なんといっても私がしているのは、 実らない片想い なのだから。