08 ~Secret Liar~
今回はルナ視点です。
女性視点で物事を上手くかけるか分かりませんが
頑張ります。
少女はアカツキから離れ、北西にある新ドイツの地にいた。
少女の名はルナレア・サクヤ・S・タール。
その容姿は、腰に向けて長く伸びた銀髪に、歳相応の背丈とすらりとした体型。
そして一番特徴的なのがその燃えるように真っ赤な瞳だった。
さて、彼女がこの地に戻ってきた理由だが、それは帰省半分、仕事半分だった。
「まあ、まずは家に帰ろうかな」
私は本国に帰ってきて思考言語を完璧にドイツ語に切り替えてからそう言った。
それから一回深呼吸をして、空港の入口から一歩踏み出した。
そこでは天然色の金髪を風で揺らして待っている人物があった。
「サクヤー。迎えに来たよー」
彼女は私の幼馴染のエリカ、エルザ・エリカ・ハイディングスフェルト。
私が留学してからも、ほぼ毎日ライブチャットをしていたので、今の再開もそう懐かしさを感じる事は無い。
「エリカだけ? ほかのみんなは?」
「用事よ用事。こんな事してあげるのはアタシくらいなんだから感謝しなさいよね」
「はいはい」
等といつもの調子で会話が弾む。
「お父様は元気?」
「うん、まあね。病気も最近は回復に向かってるみたい」
エリカの家族は父子家庭で、今はその父も病気で入院しているのだ。
だが、それは私が留学する前からの話である。
もうだいぶ長い事入院している事になる。
「あ、私車かったんだ! 乗ってく?」
「乗ってく乗ってく。やっぱり赤色?」
「もちろん!」
「エリカは本当に赤色が好きだねー」
他愛もない話を続けられるのは女子高生パワーというやつなのだろうか?
自分でもよく話が途切れないものだとか思ってると、あっという間に私の家にたどり着いていた。
「じゃ、駐車場に置いてくるから待っててー」
「はーい」と返事をしてから、私は久しぶりに自分の家を眺めた。
それはどこか西暦以前、中世的な雰囲気を感じさせる石造りのお屋敷で、建物はL字型に曲がっており、伸ばすと1kmくらいはあるんじゃないかと言うほどに大きかった。
自分の家とは言え、やはり大きい。
お父様はつい最近まで新ドイツ軍のかなり上位の仕事を受け持っていたらしい。
定年してからはこのように大きな屋敷を構えてのんびりと暮している。
「お待たせー。じゃあお父さんに挨拶しにいこう」
エリカはそう言うとそのままずんずんと私の家に堂々と入って行った。
私もそのあとを追いかけて屋敷に入る。
この屋敷は中が広い割には空き部屋も多いため、執事やメイドなどの者は最低限しかいない。
留学前から増えていなければ、多分4人である。
「お父様は書斎ですか?」
「最近は籠りっぱなしだから多分そうよ」
エリカは一応この家に住んでいるのだ。
だから幼馴染と言うより家族に近い。
それにしてもこの廊下は長い。
前々から思っていたのだが、エスカレーターの平面版みたいなやつをつけたほうがいいのではないか。
そうこうしているうちに書斎の前に着く。
書斎の扉は魔術によって守られているため、その表面には魔法陣が幾何学的に彫られていた。
その重い戸を開き、中に入る。
「お父様いますか?」
中の荒れ模様はいつも通りで、その書類の山がごそごそと動いたと思ったら、60を超えた父がバサッと山の中から出てきた。
「何の用だ? お、ルナレアではないか。戻ったのか」
「はい。ただいま帰りました。また一週間後には出ていく予定ですが……」
「ふむ、それでいい。勉学は自分の思うようにした方がいい」
「ありがとうございます」
父は書類の中から一つを持って机に戻ると、なにかをせっせと書き始めた。
「それでは失礼します」
「ああ、ルナレア。あとで頼みたい事があるのだが」
「なんでしょう?」
「SSR,CR、0121」
暗号。いや、コードだ。
それは軍の最高機密についての話を含むと言う事だ。
それを聞いてから書斎を後にする。
そして最後に行く場所と言えば自分の部屋くらいしかなかった。
「やっぱり自分の部屋は落ち着くなぁ」
私は自分の部屋に着くやスーツケースをほっぽり出して、ベッドにぐでーと横になった。
「お父さんに呼ばれたんでしょ? 行かなくていいの?」
「0121は時間。1時21分に来いってさ」
新ドイツ軍の実験に参加するのだろう。
なんの実験?
新型AAの起動実験に決まっている。
なにせ私はAAとの相性が世の中に10人といないSSSクラスらしいからだ。
また起動をやらされるのかと思うと自然とため息が出てきた。
先生とアスカと海に行ったときに言ったあの言葉、「戦闘を見ると嫌気がさす」というのは嘘ではない。
だが、そんな自分の意志とは関係なくSSSクラスに生まれてしまい、その結果お父様にAAの起動を毎回手伝わされると言うのは皮肉というのだろうか。
「ねえエリカ、紅茶飲みたい」
「しょうがないなぁ、淹れてくるからちょっと待ってて」
エリカはそう言うと私の部屋を出て行ってしまった。
私はふと時計を見る。
あ、もうすぐ21分。
紅茶飲みたかったなぁ。
と思いながらエリカにメールでそれを知らせ、急いで父の書斎に戻った。
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書斎から父のテレポーターを使って実験会場に向かうと、そこはどうやらどこかの体育館の様で、しかし天井は物凄く高い。
「ルナレア、いつものやつを頼む」
「はい」
そう答えて私は一歩前に出る。
辺りを見回し、見ている科学者、と今回は魔法学者も混じっているようだ、全員と目を合わせてからAAにコンタクトを開始した。
AAの展開前状態のモノに触れると、意識が拡張されていき、周りの事がよりクリアに感じられるようになる。
この感覚も慣れたものだ。
「次」
「はい」
AAを展開させる。
ここまではいいのだ。
ここからが暴走の危険がある。
「歩行から走行、飛行」
「はい」
言われたようにするだけだが、ここで暴走して飛んだまま帰ってこないとかいうこともあるらしい。
そう考えると急に怖くなってきた。
だが、今回は言われた事を暴走なくこなす。
「自律AIを起動させ、魔術シールドを展開」
「はい。AI起動」
始めましてご主人。
私の名はゴットフリートです。
なんなりとご命令を。
「シールド展開」
了解
その声とともに私の手のひらの先には大きい大きい魔法陣が出現する。
それが顕現した後、マシンガンをそれに当てていく。
だが、もちろんそんなものは豆粒のように弾き返していく。
まったく面白くない。
次にレールガンで射出された球を受け止めて見せる。
本当に詰まらない。
ご主人は楽しい事を御所望ですか?
まあそれなりに。
それでは楽しませてあげましょう。
私は一瞬ゴットフリートの言っている意味が理解できなかった。
だが、すぐに大変なことに気付く。
「指令、南の山脈の方に魔物が出現しました」
ご主人の望んでいる楽しみは戦闘ですか?
フリート、あなたが生み出したって言うの!?
いえいえ、そんなわけがない。予知魔法ですよ。ちなみにあと10秒後にこの直情にテレポートしてきます。
な!?
あなたの魔力を狙ってね。
どうでしたでしょうか?
最後になるにつれて眠くなってきてしまい、文章に覇気を出すことができませんでした。
これはミスった。
感想お待ちしています。