14 ~Transfer~
地球と言うところはなぜこうも物騒なのだろうか?
アレシアこと、アリスはシャトルを降りてきた途端に現れた化物と対峙しながらそう呟いた。
シャトルは無事着陸する事が出来たのだが、直陸した直後にドラゴンの形をした魔物が現れたのである。
だが、彼女にはできる事があった。
「UMNならいけるかな?」
「私の方は問題ありません」
UMN、イタリアの新型らしい。
彼女はイタリアで建造された五機のうちの一機を借りて地球に降りたのだ。
しかし、彼女の魔法能力は著しく低い。
なぜなら彼女は生まれも育ちも宇宙だからだ。
宇宙では地球と離れているだけAoの影響も少ない。
つまり魔法は大気圏外ではあまり役に立たないと言う事でもある。
だが、そんな宇宙育ちでも魔物に対抗できるほどに作り上げられたのが、このUMNであった。
UMNは全ての攻撃に魔法属性を付加させるようにされているのだ。
「じゃあいくよ!」
「了解!」
アリスの声に応じて光が彼女に集合する。
その光が消えた後に残されたのは、両腕にガントレットを、両足や胸にもプロテクターが見られる。
そして一番の特徴はその背後に浮かんだ翼のような形をしたオブジェクトである。
ドラゴンはアリスのUMNの放つ魔力に反応して首を動かす。
「脳波リンク正常、ワイヤレス制御空間の構築……完了。空間座標軸の決定……完了」
ドラゴンが体をこっちに捻り、ブレスの体勢に入る。
「ビット射出!」
「了解!」
アリスがそういうと背後の翼に付いていた六つの子機が反応して飛び出し、そのうちの三機が彼女の目の前にビームで壁を作り、ドラゴンのブレスを受け流す。
残りの三機はドラゴンのブレスをかわし、それぞれ頭、胴、足をビームで貫く。
ドラゴンはそれによろけ、ブレスを中断する。
僕は科学の力だけでも十分戦える!
私の魔法サポートもありますよ?
そうだね。
それにしても実戦最初にしてはよくできてるんじゃないの?
そうですね。
しかし思いあがらない事です。
「あ、魔物って本当にすぐ回復しちゃうんだね。じゃあそろそろコアを見してくれる?」
「了解」
アリスの視界に赤くコアの位置が表示される。
ドラゴンの心臓だ。
その位置にコアはあった。
「攻撃来ます」
「あたるとでも?」
ドラゴンの頭突きがシャトルに激突し、シャトルはこっぱみじんになって炎上する。
しかし、そこにアリスの姿は無い。
「瞬間移動って言うのは便利だねぇ……。これがあればどこでも行けるんじゃない?」
「いえ、瞬間移動できる空間は限られています。それと、遠くに行こうとすればするほどエネルギー消費が激しくなります」
ドラゴンの背中でコアの位置にビームライフルを押しつけ、すっと引き金を引く。
するとその銃口から高圧に圧縮された粒子が放出し、光を放ちながらその圧力を持ってドラゴンをコアごと貫いた。
ドラゴンが倒れる前にアリスは再び瞬間移動で安全地帯に退避し、その黄色をメインとした機体を待機状態に戻した。
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一人の魔物を倒したと言う少女は意外にもうちの高校への転校生だった。
いつも通り彼女の特徴をあげるとすると、それはすごくシンプル。
自然な金髪は肩までで揃えられていて、背はたぶん160ちょっと、目は茶色、いまどき珍しいごくごく自然な少女だった。
今は軍の会議室で俺と二人きりと言う状況だが……。
こんな時なんて話しかけていいの?
「おい」
しまった。
おい。とか全然好意的に聞こえないだろ俺のバカ!
「Oh……,Ciao.」
「え、えっと、チャオ?」
そうだ、彼女は外国人、日本語が分からなくても当然だ。
いやしかし、アカツキの高校に転校してくるのに日本語をしゃべれないと言う事がありえるのだろうか……。
「えっと、日本語は……?」
「Io sono spiacente. Io non posso parlare io il giapponese.」
「え、何?」
「Oops.」と呟きながら頭を軽く叩き、再び口を開く。
「oh……、ボク、ニホンゴ、シャベレ、マセン?」
片言だったが、きっと彼女はこう言いたかったのだろう。
「僕日本語喋れません」
なぜ僕?あとなんで疑問形?
まあ、疑問は置いておくとして、彼女はどうやら日本語が話せないらしい。
「アリアはイタリア語できるか?」
「まあ、一応はですが……。話したいの?」
「だってわざわざイタリアから降りてきたのにこんな風になって気の毒だろう?」
「じゃあ、話してみますね」
アリアが話して分かった事。
彼女の名前はアレシア・L・ヴァリエイナ、イタリアのローマ出身。
今まで地球に降りた事は一度もないらしい。
それならば自然な髪の色も分かる。
アリアたちはなんだか楽しそうに話しているが、俺は一人取り残され、会話にも入って行けずとても疲れた。
「Io sono spiacente. Non sia messo in conversazione.」
「お話しできなくてごめんなさいだって」
「そうか。気にするなって言っておいてくれ」
気にされても入れるわけではないのだからな……。
「Un'aria può interpretarlo?」
「私が通訳すれば?って」
「そ、その手があったか!?」
だが、いざ話せると分かっても俺は何をしゃべっていいか分からなかった。
「あ……」
「はい。書類提出してきたからもう帰っていいよー」
しゃべろうとしたタイミングでメイさんが入ってくる。
いいし!
どうせあと数日したら学校で話せるから!
ダメだなぁ。
新キャラ登場がぐちゃぐちゃってどうなのよ・・・。
まあ、これからもがんばるとしますか。
感想よろしくお願いします。