王子には旅をさせよ
キョロキョロ・・
「いったいココはどこなんだあああ!?」
あの変なおじさん?のせいで、道に迷った。こんなことなら、藍に言って、一緒にくるべきだった。
周りを見渡すと、何もない。殺風景だった。さっきとはまったく違う世界のような、お店もフレンドリーな人たちも誰もいない。点々と枯れ果てた木があるだけ。
「何も・・無い。よし、来た道戻ろう。」
俺は勘違いをしていた。戻る道を。そう、俺は戻っているのではなく、進んでしまったのだ。あの殺風景な道を。だって、同じ景色でわかんないんだもーーん!
変な怪物集団が、たむろしているのを発見。いやだな。絡まれたくないな。と思いつつ、スタスタ真っ直ぐを見て歩く。
「へへっ・・。よう兄ちゃん。あんた、魔界じゃ見かけない顔だね?どっからきたんだい。」
うっわーーー。さっそく絡まれた。怖えぇよ。俺まじでチンピラとか暴走族とか暴力団とかそんなん苦手なんだよ、嫌いなんだよっ!!
「・・・えっと、人間界・・?からつれてこられました。」
「へー。兄ちゃん、人間界のモノなんかい。な、俺たちと組まない?」
「お断りします。すいません。」・・なんて言えない。怖いから。ボコられたくないんだよ!
「えーっと、考えさせていただきます。すいません。」
「おー、おー。そうしてくれや。決まったらまたこっちにこいや。」
「はい、それでは失礼します。」と言って俺は、チンピラ共から逃げれた。やった!よし、このまま前進していけば、街に戻れるぞ!
~3時間後~
・・あれ?俺、こんなに歩いてたっけ。喉渇いた。街はどこだ?もしかしてとは、思うが・・俺道間違ってるんじゃ・・・?あっ、あそこに人がいる!よし、聞いてみるか。
「あのー、すいません。魔界の街ってどこにあるんでしょうか?」
「・・・。」
「・・・?あの・・。」
キレイなピンク色の髪で瞳の色が透き通った蒼。とてもきれいな女の子だった。俺よりは年下かな。
じーっと、俺を見つめている。何も答えずに。そうして5分ぐらい間が開いて、女の子が口を開いた。
「あっち。街はあっち。」
女の子は俺とまたく逆の方向を指した。・・・あああああ"あ"!?俺道間違ったのか・・。ガクッ。
気を落としている俺に、トントンっと肩を叩かれた。
「送ってあげようか。私もちょうど、その街に行く。来るなら乗って。」
どこから出したのか、箒を持っていた。いわゆる飛ぶ箒、魔法の箒とかなのかな?魔界だし、藍も飛んでたし。・・箒は持ってなかったけど。
「・・どうするの?」
「あ、あぁ、行きます!!お願いします!!」
乗って。そう女の子は言って、箒に乗った。
「・・・?」
「・・??何?」
「向きが逆じゃないの?そうゆう乗り方?」
箒の掃く方に体を向けて乗っていた。普通とは、違うよなー・・。
俺が突っ込んで3分間が空いた。
女の子はみるみる顔を真っ赤にして向きを変えた。天然なのか。
「は、はやくのってください・・。」
小声で言う。・・かわいいな。っは、俺はロリコンじゃないぞ!?
無言のまま街へ進む。箒って結構酔うんだな。うぇっぷ。
早く、藍に会わなきゃ、怒られる。