後編
「うわっ!」
「し、死んだ!?」
「逃げろ!」
コウスケ、ケンイチ、キョウの三人は、破壊した窓から飛び出そうとする。
しかし高速で下りてきた雨戸がそれを妨げた。
「くそ、開かないっ!」
「玄関! 玄関行こう!」
三人は大急ぎで廊下を駆け抜けて玄関に辿り着く。
キョウが扉を開けようとするが、びくともしなかった。
彼は悪態をついて扉を蹴る。
「ちくしょう、ダメだ!」
「なんで!? 鍵はかかってないよ!」
「うっせえな! 耳元で叫ぶな!」
苛立つキョウがケンイチを殴る。
その時、キザキミナコが廊下に現れた。
彼女はゆっくりと焦らすように歩み寄ってくる。
その姿を見たケンイチが、泣き笑いのような顔で頭を掻き毟り始めた。
彼は神経質な声を発しながら頭皮を爪で引き裂く。
「ひ、ひっ、ひひひっ……いひひひひひひひひひ」
やがてケンイチは、自分の指を両目に突き込んだ。
そのまま乱暴に手を動かして叫ぶ。
「ああああああああああぁぁぁぁぁっ」」
ケンイチは激しく嘔吐し、倒れて悶え苦しむ。
ほどなくして吐瀉物で喉が詰まって動かなくなった。
壮絶な死を目の当たりにしたキョウは、苦い顔で懐に手を入れる。
彼が取り出したのは古びた短刀だった。
鞘から刃を抜いたキョウはキザキミナコを睨む。
「仕方ない、これを使うしかないか……」
「それは何だ?」
「前の撮影……殺戮神社から盗んだ神器だよ。霊力が宿ってるらしいから、キザキミナコにも通用するはずだ」
キョウが短刀を腰だめに構えて突進する。
キザキミナコから伸びた髪が絡み付くも、彼は無理やり切り裂いて進んだ。
「うおおおおおおおぉぉぉっ!」
突き出された短刀がキザキミナコの腹部を捉えた。
キザキミナコが絶叫し、その身体が蒼い炎で燃え上がる。
崩れ落ちた悪霊を前にキョウはガッツポーズをする。
「よっしゃあ! コウスケ、撮ったか! どうだ! 俺が倒したぞ!」
歓喜するキョウの背後でキザキミナコが立ち上がった。
彼女は素早くしがみ付くと、さらに髪を巻き付けて剥がされないように固定する。
その瞬間、蒼い炎がキョウに燃え移った。
「えっ」
炎はキザキミナコとキョウを等しく焼き払う。
数秒後、両者は跡形もなく消滅した。
一部始終を見届けたコウスケは、ため息混じりに霊殺しの短刀を拾う。
「あーあ、油断するから……」
コウスケはカメラを自分の顔に向ける。
彼は胡散臭い笑顔を作って言った。
「そんなわけで、キザキミナコの除霊に成功しましたが、生き残ったのは僕だけでした! また新メンバーを募集するので、ぜひ応募待ってまーす!」
コウスケは意気揚々と玄関扉を開けた。
呪われた家を背景に映しつつ、彼は動画の締めに入る。
「本日もありがとうございました! 高評価とチャンネル登録お願いします! また次回の動画で会いましょう!」
手を振るコウスケの後ろでは、死んだ四人のメンバーが浮遊していた。




