中編
コウスケは室内の様子を撮影する。
カメラをゆっくりと往復させながら、彼は失望した様子で言う。
「なんか普通の家って感じですねー」
「つまらねえな」
ユウシは金属バットで手当たり次第に家具を殴る。
キョウはスプレー缶で壁に落書きをしていた。
リビングを抜けた五人は、他の部屋も探索する。
しかし特にこれといった異常もなく、場はだんだんと白けていった。
コウスケは気を取り直して宣言する。
「なんか何もないので、霊を挑発してみようと思いまーす!」
「いえーい!」
「思いっきりやるぞー!」
リビングに戻った五人は、カセットコンロで鍋を始めた。
持ち寄った野菜や肉を次々と放り込んで煮込んでいく。
その間に缶ビールやチューハイを手に取って掲げた。
「かんぱーい!」
「登録者七十万人おめでとうー!」
「たらふく飲もうぜ!」
「AV流そう! AV!」
「わぁ、やらしーね」
「いいじゃんいいじゃん! 一緒に観ようぜ!」
ビデオデッキを操作するキョウとサオリをよそに、ユウシとケンイチは室内の物色を行っていた。
電化製品を持ち上げたケンイチは首を傾げる。
「これ売れるかな?」
「とりあえず盗めばいいだろ」
「確かに!」
二人は持参したバッグに金目の物を詰め込んでいく。
その後も五人の飲み会は大いに盛り上がった。
テレビから嬌声、スマートフォンからは音楽が流れている。
彼らは酒を呷り、野菜を投げつけ合ってゲラゲラと笑っていた。
少しふらつくコウスケがカメラ目線で説明する。
「ここでリクエストコーナー! コメント欄で募集します! 何かしてほしいことがあれば気軽に――」
その時、テレビの画面にノイズが走る。
画面が砂嵐に切り替わり、女の顔がぼんやりと映り込んだ。
そこに金属バットが炸裂して画面を叩き割る。
金属バットを引き抜いたユウシは、テレビを蹴倒して挑発した。
「怖くねえよ! 悔しかったら直接かかってこいや!」
へらへらと眺める四人が凍り付く。
叫ぶユウシの背後に青白い女の霊が立っていた。
四人の視線に気付いたユウシが振り向いてぎょっとする。
「うおっ!?」
キザキミナコの髪がユウシの首に巻き付いた。
そのままきつく絞めて持ち上げる。
「くっ、あ!? ぐあっ!」
苦しむユウシが金属バットを無我夢中で振るう。
全力のスイングがキザキミナコの顔面を陥没させた。
しかし髪の拘束は緩むどころかさらに強まる。
やがて頸椎の折れる音と共に、ユウシの頭部が一周した。
脱力した身体が痙攣し、失禁によってズボンが濡れる。
室内に悪臭が漂うも、それを気にする者はいない。
一部始終を目にしたサオリが悲鳴を上げた。
「きゃあああああああぁぁぁぶぇっ」
見えない力がサオリを突き飛ばした。
彼女の身体が壁にめり込み、軋みながら四肢が折り畳まれ、丸まっていく。
肉の裂ける音に骨の砕ける音。
サオリは血みどろの肉団子になった。




