第5話「再び」
松下を助け出した杏堂は再びマシンに乗り込み、ピットへと戻っていった。
そして、この現場の横を続々と後続のマシンたちが通過していく。
萩原、根岸、大塚。みんな松下の容態を心配していた。
その時だった。
後続から高速で迫るマシンが。
99号車、オリバーのものだ。
『オリバー!減速しろ!その先には重機がいるんだぞ!』
「へっ!別に平気さ!向こう(ヨーロッパ)ではこうでも平気だった!」
『ここはジャパン、日本だ!向こうのことは通用しない!』
「大丈夫さ、すぐ戻r」無線からノイズが走る。
『おい!オリバー!オリバー!大丈夫か?聞こえるか!?』
モニターには松下のマシンを回収するために出動していた重機にオリバーのマシンが激突する様子が映されていた。
その時の速度は約200km/h。
このことは後に松下には伝えられたが、この事故でオリバーは頭部に重篤なダメージを負い、帰らぬ人となった。
そして、この事故を受けて中根は両手をやけどし、1戦を欠場、代役としてTGRの育成ドライバーが31号車に乗ることになった。
しかし、両手のやけどだけで済んだのは現在のレーシングスーツの安全性を実感させられた。
次のレースでも杏堂は優勝を決め、大量ポイントを獲得した。
そして次戦の富士決戦。ここが中根も復帰レースとなる。
以前5位を獲得した最高のサーキット。ここで再び上位争いに加わることを決めていた。
しかし、あんな事故が起こってしまうなんて…