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第3話「出現」
その後の第2戦では杏堂が2位、松下が3位、第3戦では杏堂がVERTEX racing移籍後初優勝、松下も2位と表彰台に2人が揃うことが多くなった。
そして、夏休み明け最初のもてぎ戦。
松下は去年ここでクラッシュという苦い思い出を持っていたため、その払拭を狙っていた。
夏の末の大会ということで、酷暑がドライバーを苦しめていた。
実際、25台中3台がドライバーの体調不良でリタイアとなっていた。
杏堂は1位を快走、それを追うように99号車、31号車が競い合っていた。
「またお前とぶつかるなんてな。今回は1対1だ。お互いの実力ぶつけ合おうぜ。」
2人のバトルは5周に渡って繰り広げられていた。
そして、運命のもてぎのダウンヒルストレートへと差し掛かる。
「さぁ、オリバー、お前をぶち抜く!」
オリバーの背後にピッタリ張り付き限界までスリップストリームの効果を生かす。
その時だった。
目の前のオリバーが左へそれる。
代わって目の前に現れたのはスローダウンした周回遅れのマシンだった。