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VERTEX3  作者: 銀乃矢
メインストーリー
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11/22

第10話「賭け」

決勝日の朝、昨日1日を通して降っていた豪雨は止んだ。

菅生の上空にはきれいな青空が広がっていた。


しかし、路面ば乾ききっていない。

昨日の雨で濡れたコースの一部がまだ乾いていないのだ。


「困ったなぁ…タイヤ、スリックタイヤとレイン、どっちで行こう。」

サイティングラップという決勝レース前最後のマシン確認タイムで考える。


今履いているタイヤは雨、濡れた路面に適した溝入りのレインタイヤ。

しかし、空は快晴、このまま行けば路面は乾いていく。


ただ、それが何周目かは予想できない。

10周目かもしれないし、ファイナルラップかもしれない。


ステアリングの無線会話のスイッチを押す。

「スリックタイヤ履いているマシンっていますか?」

『えっとね、ダンデライアンの2台、TOM'Sの萩原、SPESの大塚はスリックタイヤだね。残りはみんなレインタイヤだね。』


4台だけか。

「その4台、走れてました?」

『結構普通に走れていたね。多分内圧を下げているのかも。』


内圧とは、タイヤの空気圧のことで、これを下げるとタイヤと地面との接地面積が大きくなり、安定感が増す。

逆に内圧を上げると接地面積が小さくなり、滑りやすくなる。

ただ、摩擦が減るのでストレートスピードが伸びやすくなる。


よし、やってみよう。

「内圧下げたスリックタイヤ用意してください!」

『OK、OK。』


いっちょ、賭けてみましょうか。


グリッドにつき、マシンを降りる。

するとメカニックたちがすぐにスリックタイヤへと交換を始める。


「いいのか、松下。結構リスキーだと思うぞ?」

「大丈夫っす。内圧低めのにしてもらったんで。」


「まぁ、止めはしないけど。」


「スピンしなけりゃいいだけっす。あとは乾くのを待つだけです。」

「そうだな。スピンだけしなければいいぞ。」

「ういっす。」


『フォーメーションラップスタート。前走者に続いて。』


晴れているのにもかかわらず、水煙が上がる不思議な光景が広がっていた。


「うーん。川がなければ多分平気なんだよな。川を避けるように走れば大丈夫だろ。」

川というのは水が帯状にコース上にあり、通過すると危険なものだ。


「おぉ〜、滑る滑る。でも行けない感じじゃない。」


運営はまだ路面が十分に乾ききっていないことからローリングスタートを選択した。


全車珍しく整列し、ゆっくり進んだままスタートラインを超える。




迎えた1コーナー、曲がりきれずに飛び出していく車が見えた。


そして、その飛び出していく車の中には31号車も混ざっていた。


「あぁー!やっちまった!もう!」

すぐにコースへと復帰する。順位は8位から20位まで落ちてしまう。


「うわ〜」「まじか〜」ピットでもメカニックたちが落胆の声を上げ、頭を抱える。


目の前には10号車の永野。


『大輝、永野を追い抜け。順位交代させる。』

「了解。」


目の前を走る10号車が減速する。

その横を追い抜く。


その時31号車のドライバーが10号車のドライバーに親指で後ろを指差すハンドサインを送った。

「永野、ついてこい。引っ張ってやる。」そう言っているようだった。


そのサインを理解したのか10号車は31号車に合わせてペースアップしていた。

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