表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度もフラれたけれど、今は次期侯爵さまに溺愛されて幸せです  作者: 神山 りお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/31

25 心に決めた未来



 ルーフィスがくれた小箱に入っていたのは、リリークの花がモチーフの小さな髪飾り。

 銀細工で出来た花びらと葉の一ヶ所が、光に翳すとキラキラと輝いている。あのルーフィスがくれる物が、ガラスという事はないだろうから、それぞれ宝石に違いない。

 花の部分はオレンジ色、葉の部分は淡いグリーンの色の宝石。

 しかし、一見で分かる程、フィーナはあまり宝石に詳しくない。だからといって、鑑定してもらうのは色々な意味で失礼な気がする。

 機会があったら、本人に訊いてみようとフィーナは思う。



 後に知った事だが、オレンジは"ダイアモンド"、グリーンは"ペリドット"であった。

 オレンジ色のダイアモンドは"不安"を取り除き、ペリドットには"嫉みや嫉妬"から護ってくれるという逸話があるそうだ。



 ルーフィスはきっとフィーナを想って、この宝石を選んでくれたのだろう。



 フィーナはドレッサーの鏡の前で、その髪飾りを付けて見る。

 主張し過ぎない大きさの可愛らしい髪飾りは、顔を右へ左へと角度を変えると、銀細工や宝石がキラキラと光ってもの凄く綺麗だった。

 身に付けただけで、側にルーフィスがいる様な、ドキドキ感と安心感があるから不思議だ。



「ルーフィス様と会う時に付けよう」

 普段使いに出来る品だが、失くしたら悲しい。

 小箱は小物入れにして、髪飾りは鍵付きの引き出しに、大事に大事にしまって置こうと心に留めた。



 ベルベットのリボンは、髪を結ぶリボンとして使おうかなと手にした時ーー

 はたとフィーナは考えた。

 ルーフィスにお返しをしたいなと。

 宝石が付いたカウスボタンやピンでもイイが、目利き力があるルーフィスに宝石で返すのは、チャレンジャーな気しかしない。

 そこでフィーナが考えたのは、このリボンだ。

 ルーフィスは少し長い後ろ髪を、麻紐やリボンで結んでいる事がある。なら、このベルベットのリボンに、刺繍を施してあげたらどうだろうか?



 お世辞でなければ、ハンカチーフの刺繍の反応は良かった。

 夜会などで使うのではなく、普段使いにしてくれたら嬉しい。

 フィーナはそう思い、棚から裁縫道具と刺繍糸をあさる。ベルベットのリボンは落ち着いた緑色。

 ルーフィスの髪は輝く様な金色だから、きっと映えるだろう。

 刺繍糸は高級感ある金か銀。金色だとルーフィスの髪色に負けて、リボンが霞んでしまうだろう。ここは敢えて銀色にして、ルーフィスの髪を引き立ててはどうだろうか?



 フィーナはルーフィスに想いを馳せて、刺繍糸を選んだりモチーフを考える。

 この時間さえも、フィーナは楽しくて愛おしい。

 フィーナは悩んだ末に、リボンの両端に刺繍を施す事にした。リリークの花部分を金糸で、葉など他の部分は銀糸にして、派手過ぎない程度に華やかにしたのである。




 ーーメッセージを添えて、リボンを送ったその日。




 フィーナは寮生活をしている弟ラビーと連絡を取り、とあるレストランに来ていた。

 近隣の学園に通っているのなら、セネット伯爵家の領地に呼ぶのだが、ラビーが通う学園はかなり離れている。

 だからといって、学園や寮に押し掛けるのは、ラビーには迷惑になる。と言う事で間を取り、レストランの個室を予約したという訳だった。



 フィーナと5歳離れている弟ラビーは、幼い頃からかなりしっかりしている。

 都会や田舎など関係なく、周りの子供達は親に言われるまま、ただ何となく学園に通っている者が多い。

 だが、ラビーは既に将来を見据えて、自ら郊外の学園を選んで入ったのであった。



 爵位を継ぐにしろ継がないにしろ、農業中心の伯爵家なら、学んでおいて困る事はないのだ。

 伯爵となればその知識を生かせるし、継がなくとも食い扶持は困らないと考えたらしい。

 我が弟ながらしっかりしていて、自分より伯爵に向いているとフィーナは常々思う。



 その弟ラビーと会うのは久々である。

「久しぶり!」

 農業科なので、自ら農地を耕す事もあるのだろう。

 今年、高等部に進級する予定だったラビーは、以前会った時よりも肌が焼け逞しくなっていた。背もフィーナよりずっと大きくなっている。

「ごめんね。忙しいのに呼び出したりして」

 自分よりも遥かにやる事が多いだろうラビーを、わざわざ呼び付けた事を謝罪すれば、ラビーは首を傾げていた。

「姉さん、少し痩せた? あれ? 縮んだ?」

「ラビーが成長したのよ!」

 老いならともかくとして、若いフィーナが縮む訳がない。

 フィーナは困った表情をしつつ、いつも通りのラビーの軽口に笑った。



「あの能天気のせいで、やつれたのかと思った」

「せめて、楽天的と言ってあげて」

「どっちもどっちだと思うけど?」

 互いに席に着きながらそう言って、2人は笑い合っていた。

 陰口の対象はもちろん親である。

 後先考えない性格の両親に、2人は翻弄されてきたからこその言葉だった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
オレンジ色の宝石で、ダイヤモンドを思いつくのは、まずいない!と思う! 普通、オレンジ色の宝石? と聞かれたら、シトリン? トパーズ? 普通はそんなところを聞かれたら答える、2つとも誕生石だから悪い意味…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ