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ゆめの時間  作者: 秋山章子
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エリザベスとケントの試合

 ゆめは四年生になり、勉学に励み、就職先を考えていた、やはり三人と離れがたかった。

 このままでいいと思ったり、もっとさきのことを考えたら、それは不毛な結果に終わることは目に見えている。私はここの生活も卒業して出ていかないといけない。どこへ……どこへ行けばいいの……いつも結論が出せなかった。悩んでいても時は過ぎていき、クリスマス休暇になるので四人でイギリスへ旅立った。

 エリザベスとケントの試合はフェンシングジムで行われる。ジムの先生や弟子がいるなかで二人は立ちあった。

 エリザベスが「この試合に私が勝ったら、私のほしいものをケントからもらうから」と言い放つ。

「それでは僕が勝ったら」とケントが聞く。

「お城でもりんご園でもなんでも一つケントがほしいものをあげる」

 ケントが頷いて試合がはじまる。

 はじめはエリザベスが優勢だったが途中からケントに押され気味で、最後にケントの剣がエリザベスの剣を跳ね上げて、剣が宙に飛んで壁に当たって落ちた。

 エリザベスは落ちた剣を見てから、ふっと息を吐いて、「私の負けね。なんでもお望みのものをどうぞ」と言う。

 ケントはそばにいる弟子に剣を渡し、エリザベスのそばに来て、彼女を肩に担ぎ上げ、落ちないように足を胸のところで持ってそのまま出入り口へ向かった。

 そして博樹のそばを通るとき、「博樹もゆめも一緒に来てほしい」と言って外へ出ると、斜め向かいある教会へ向かった。

「ケント、降ろしなさい」と怒った声で言うが、ケントは黙って歩きつづける。

 教会に着くと扉のまえで降ろして「僕が伯爵からほしいものはエリザベス、君だけだから」と言うや、扉を開けて、今度はエリザベスを抱き上げて祭壇のまえまで行くと、横のドアから牧師が慌てて出てきて「予定より早かったですね」と言って、結婚式を執り行ってくれた。皆、呆気に取られていたが、エリザベスがうれしそうに誓いの言葉を述べる。牧師が祭壇の前に置いてある小箱から指輪を取りだして、指輪の交換をする。二人は口づけをする。

 ゆめはエリザベスの幸せな顔を見て喜んだ。彼女が一番望んだことが実現したから。

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