クリスマス休暇はトニージュニアと一緒に
西海岸での二度目のクリスマス休暇がやってきて、四人はトニーのもとへ帰っていった。
ジュニアが大きくなっていて、そこら中をハイハイしてまわっているので、メルがついてまわっていて、くたくたに疲れきっていた。
「まあ、メル大変そうね」
「ええ、トニー様とまったく同じなんですよ。ところが私が年をとったのでお世話するのが大変なんです」
「しばらく休んでちょうだい。私が代わってジュニアの世話をするから」
「ありがとうございます。でも、ゆめ様。大丈夫ですか。お疲れになってお体にさわりませんか」
「ええ、大丈夫よ」と、ゆめはジュニアを抱き上げてあやすと、きゃきゃと笑って大喜びする。
それを見てメルも安心して、ゆめに任せることにして、ほかの仕事をするために居間から出ていってしまう。
「ジュニア、私と遊びましょうね。ママとパパはお仕事で忙しそうだけど来週からクリスマス休暇でしばらくはお家にいるから、それまでは私で我慢してね」とジュニアのほっぺにキスをして、くまのぬいぐるみや音の鳴る玩具で遊びはじめる。
トニーとジェニーは、ゆめが小さな子どもの扱いが上手なので安心して仕事に行けた。
美貴も手伝ってくれるし、ジィムと博樹も頼んだことはできるようになった。
「ジィムはいつでもお父さんになれるね」と美貴に言われて、「その前に結婚相手を見つけないとね」とジィムはニヤッとして答えてから、「このままでは一生独身かもね」とぼやいている。
美貴が博樹のほうを見ると、彼はジュニアを抱いているゆめを愛おしそうに見つめていて、「僕が代わろうか」とジュニアに手を差しだすが、いやいやをして、ゆめにしがみつく。「うう〜ん、僕ではだめかな」と苦笑いする。
ゆめと美貴でジュニアの世話をして過ごすことになったが、ゆめは楽しくてしかたがなかった。里子の小さいころを思いだしたり、トニーとジェニーの役に立てたと思えたことがうれしかった。
トニーの会社もクリスマス休暇に入り賑やかな楽しい日々が続いて、クリスマスが過ぎて新年になり、あっというまに日常に戻っていく。




