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ゆめの時間  作者: 秋山章子
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大学受験

 クリスマス休暇がはじまり、博樹たちがやってきた。

 ゆめは大喜びで、三人といつも一緒にいた。

 そこへイギリスからエリザベスもやって来たので、ゆめは幸福に包まれていた。

 女性たち三人はお買い物と食事とおやつにと楽しみ、秘密の話を女性だけで、ゆめの部屋で話しこむので、男性陣は淋しい思いをしながら、仕事や最近のニュースを話しあった。たまにジェニーがゆめたちに加わったりもしたが、それは母親が娘たちの悩みを聞いているかのようだった。

 クリスマスにナンシーと里子が遊びにきて、ブライス家は笑い声と歌声と愛情と山のようなプレゼントと幸せに満ち溢れていた。

 新年を迎えて、ナンシーと里子が日本へ帰り、エリザベスもイギリスへと帰っていった。トニーとジェニーも仕事へ戻ったので、淋しがるゆめのために博樹は帰る日を延ばして、ゆめと過ごした。凍った町を散歩したり、暖かい暖炉の前で、里子のお土産の日本のすごろくをしたりして遊んだ。美貴とジィムも休日をのんびりと過ごした。

 急速に二人の距離が縮まっていった。それは年の離れた兄妹のようだった。

 ゆめの学校がはじまる前日に博樹たち三人は西海岸へ帰っていった。美貴とジィムはエリザベスの美しさや人柄について車のなかで話しあった。二人ともエリザベスに好意的だった。そして博樹があまり反応しないので聞いてみるが、好意的だがそれ以上でも以下でもなく友達として見ていた。二人は博樹の女性感がよくわからないが人としての彼が好きで、仕事仲間としても最高だった。

 トニーは博樹のゆめに対しての心遣いをうれしく思っていた。

 学校では大学の話が多くなり、皆、志望大学を決めていた。ゆめも友達に聞かれたがわからないので、トニーの母校を言っておいた。夕食後にトニーに話すと、彼は大喜びで明日にも母校へ電話をしようと言いだしたので、ゆめは慌てて、高校を通して受験の申しこみをするからと言っておいた。ジェニーもゆめのことになると冷静さに欠けるトニーが心配だった。彼女の心のなかでトニーの人物像が大きく変わっていっていた。トニーを一人の男性として感じていたが、いつもどおりに接していた。

 ゆめは二度目の大学受験を経験して、優秀な成績で受かった。

 トニーは大喜びして、ゆめのためにアメリカとスイスの銀行に彼女名義の口座を開いた。ブライス家の人々皆が喜びに溢れていたが、ただ一人、トニーの様子を心配していたジェニーが彼が悩んでいるのに気づき、なにげなく話してみた。

「僕は元気だよ。なにも心配することはないよ」といたって平静に応えて微笑んでいる。

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