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ゆめの時間  作者: 秋山章子
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親友エリザベス

 夏休みも終わって、ゆめは最上級生になり、楽しい日々が過ぎていった。

 新一年生の歓迎パーティがあるので、三年生のバンドグループが演奏するのだが、ピアノ担当の学生が体調を崩したので、友達がゆめを推薦した。ゆめのピアノを聞いたバンドメンバーは即決した。その日から放課後に練習があり、ゆめはトニーとアランに連絡を取って、参加した。リーダーのギター担当のジョージがいろいろと教えてくれる。彼は勉強もスポーツもできて、女子に人気があった。

 パーティの本番でも大盛り上がりで、ゆめも興奮していた。

 終わって後片付けしてから、ジョージが送っていくと言うので、二人で歩いて帰っているときに、彼から告白され、付きあってほしいと言われる。ゆめはびっくりして返事に困っていると、返事はよく考えてからでいいよと優しかった。

 邸の門のまえで別れて、ゆめはなかに入っていき、ジョージはしばらく立っていると、彼の横を一人の男が追い越していく。そしてジョージが来た道を引き返していくと、戻ってきて邸の門へ入っていった。背の高い男はアランだった。学校のそばで待っていて、ゆめたちのあとを歩いていたのだ。人混みに紛れてわからないように、ゆめの警護をしていた。

 なにかを悩んでいると気づいたジェニーが話を聞いてくれた。

 ゆめの話を聞きながらかわいい困りごとに内心微笑んでいたが、「一緒に考えましょうね」と答える。そのことを知ったトニーはゆめをイギリスに連れていって、エリザベスに会わせた。彼女は父の跡を継いで伯爵だった。背が高く、驚くほどの美人だったし、性格も男前な人で、歳はゆめより二つうえだが、たちまち二人は仲よくなった。お互いに自分にないところに惹かれあった。

 一週間滞在して、次にフランスに行って、ヨーロッパの社交界にデビューさせて、トニー・ブライスの娘として上流社会に紹介した。

 各国をまわって、ニューヨークに帰宅したのは一カ月後だった。ゆめは出かけるまえに、ジョージに「父と旅行にいく」と伝えてあったので、久しぶりに登校してみると、彼は別の女の子と付きあっていた。彼は振られたと思い、彼に優しい少女を彼女にしたのだった。ゆめはほっとして二人を祝福した。

 今回のことに対して、ジェニーは不満と疑問を持った。そして、トニーに聞いてみると、ジェニーを連れていかなかったのは、自分の代わりに仕事ができるのがジェニーしかいないと思ったことと、それからゆめに言い寄る男は、やはり高校生でもだめだと言いだしたので、男親は娘に対して神経質になると言うが、トニーのはやりすぎだと意見を述べた。トニーは最後に「よく考えてみる」とこの話を終わりにした。

 学校へはしばらく休学することをジェニーから伝えてあったので、なんの問題もなく復学できた。ゆめは勉学に励み、友情を育み、二度目の青春を謳歌した。

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