表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/45

第31話 マツル、野郎にしかモテないってよ②

「メツセイさん......そろそろお酒が無くなりそうです」


「マジかイントリーグ......大将のヨージは?」


「それが......置き手紙に『あるよ』とだけ書き記してどこかへ行ってしまって......」


 イントリーグさんは酒場“ヨージ”の見習い兼雑用係の俺と同じ位の歳の青年だ。

 また、ヨージさんとはこの酒場のマスターである。俺も今初めて知った。


 しかしヨージさんとは......なんか日本人っぽい名前だな。今度大将が居る時にご飯食べに来よっと。


――――


「――はいみんな注目ー!! 僕から重大発表があります!」


 椅子の上に立ってギルドマスターが急に叫び出した。完ッ全に顔が酔っ払ってる。真っ赤だもん。


「今回のサラバンド防衛戦で! 特に沢山の魔獣を討伐したマツル君とホノラ君は、なんと一気に二ランクアップ!! Bランクに昇格しまーす!!!!」


「スゲぇぇぇぇ!!!!」


 みんな酔った勢いだろうか。凄まじい歓声が上がる。


「マルルすろ~い!!」


 いつの間にか起き上がってきたホノラが俺をよじ登り肩車の体勢でジュースを飲み始める。そしてすぐにそのまま寝てしまった。


「野郎共!! 今度は兄ちゃんの昇格祝いだ!! もっと飲むぞォォォ!!」


「「「ウェェェェェイ!!!!」」」


 それから宴はさらに盛り上がり、俺達は酒と食べ物が店から消え去るまで騒いだのだった。

 こうして、俺の人生で一番長い一日は終わったのだった。



◇◇◇◇



 翌日――


「う......頭痛てぇ......」


 俺が目を覚ますと、そこには荒れに荒れた店内が広がっていた。

 大いびきをかきながら床で倒れたそのままの体勢で眠る冒険者達。

 割れた食器類、山のように転がる酒樽、壊れたテーブル・窓ガラス。これはもう戦場と言っても差し支えない惨状だ。

 あれ? こんな面白い顔の石像あったっけ?


「あ、マツルさん! おはようございます」


「もし良ければここの片付け手伝って貰えませんか?」


 話し掛けてきたのはウィールとイントリーグであった。何時から起きていたのか分からないが、二人で戦後処理(後片付け)をしているようだ。


「手伝います......それで、何がどうしてこんな事になってるんですか?」


「やっぱりなにも覚えてないんですね......」


俺は片付け手伝いつつ、何があったのか聞くことにした。


――――


 まず、俺の昇格祝いも落ち着いて、ちらほらと寝始める人が出てきた頃、(俺もこのタイミングで寝た)それまで寝ていたホノラが起きたらしい。


『おらけがたりないー!!』


 酒が足りないと暴れ出したホノラ。それがこの散らかりようの正体か......


「で、つい先程ギルドマスター様が起きられたのですが......」


 あれ? そういえば俺より先に起きてきたらしいギルドマスターはどこにいるんだ?


「それが、こちらの領収書を見せたら石になってしまいまして......」


「石に? 石ってまさかこの面白い顔の石像ギルドマスターなの!?」


 ギルドマスターは、今回の宴の総額が大金貨200枚。日本円に直すと2000万円だろうか? 金額を知った途端石になってしまったそうだ。原理は知らん。


「石になる直前に、『本部にツケといて』と仰っていたのでそうしようと思いますが、バレたら不味いですよね......」


 ほぼ徹夜で仕事をしていた事が、イントリーグの疲れた顔からとても良く想像出来る。


 俺達三人はみんなが起きてくる前に片付けを全て終わらせ、昼からまた通常業務が再開された。

 避難していた住民も徐々に帰ってきていると言う。


 こうして、俺がこの世界に来てから初めての大事件。“目無しの魔獣”事件は幕を下ろしたのだった。

この小説が少しでも面白いと思った方は、是非!ブックマークや感想の投稿、いいねをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ