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緊急事態

「思っていたよりも、飛ぶのは難しいのですね。鳥を尊敬することになるとは、思っていませんでしたよ」

 鳥は悠々自適に飛んでいますからね。私も鳥のように飛びたいので、頑張りましょう。

 ディーネを見てみると、鳥というよりはクラゲのように飛んでいます。ふわふわと浮かぶようなイメージでしょうか?

 そういえば、マルとフルランも飛んでいましたね。見本にしたほうが良かったのかもしれませんね。飛べたので文句は言いませんけれど。

「とても安定しますね。鳥ではなくクラゲを目標としましょうか」

「クラゲってなぁに?」

「違う名前なのでしょうか? クラゲというのは半球状の体に細い紐のような足を持つ動物です。想像がつかないようでしたら、絵を描きましょうか?」

 そう言った直後にカーンカーンと警鐘が鳴り響きました。どうしたのでしょうか?

 地下から響いている気がします。メーデンとエナのところへ行きましょう。

「ディーネ。一緒に転移したいのですが、同じ場所に転移することはできるのでしょうか?」

「手を繋げば一緒のところに転移できるよ」

「では、手を繋ぎましょうか」

 ディーネと手を繋いで、メーデンとエナのところへ転移しました。

 急に現れた私達に驚いた様子はありましたが、緊急事態ということを思い出したようで、表情を引き締めました。

「マスターがここに来たのは、警鐘が鳴った件ですね」

「そうです。なにがあったのですか?」

「不審者の侵入を確認したんだぁ。ダンジョン内の仕掛けが急に作動したんだよねぇ。マスターに危険がないみたいで安心したよぉ」

 私のところには誰もいませんでしたね。ダンジョン内の人を探してみましょう。

 ダンジョンの最下層にいる者は誰も人ではありませんから、とても人を探しやすい環境ですね。

 三人を見つけたのですが、知っている人が二人もいます。ウィレンと羅乃くんですね。羅乃くんはラノンという名前でウィレンとゲームをしていると、親友から聞いたことがあります。

 ということは、もう一人の人もウィレンの友達でしょうか?

「その不審者は何人いましたか?」

「八人だったと記憶しています」

 もう少し範囲を広げて探してみましょう。全ての人を見つけることができました。ホーラのところに三人、アモルとカエルムのところに二人いますね。

 ホーラのところにいる三人は妙な動きをしています。ああ、理由がわかりました。ホーラを殺そうとしているのですね。

 その動きが私には妙な動きに見えたのですか。ホーラのところに転移しましょう。

「私の手を握っている者の手を握っても、転移はできるのでしょうか?」

「やったことないけど、できると思うよ?」

「メーデンとエナも手を繋いでください」

 ホーラのところに転移するように念じました。ホーラのことですから、殺されることはないと思います。ですが、心配になってしまいますよね。

「誰だ、お前! この方を国王と知っての狼藉か!」

「国王だったのですか? ホーラの仇敵ですね。メーデン、エナ。捕獲できますか?」

「マスターの仰せのままに」

「マスターのために頑張りますぅ」

 床から縄のような形をしたモノが出てきます。床と同じ材質に見えるので、床を動かしているということでしょうか?

 床だけではなく壁も動かせるのかもしれません。暢気なことを思っているとわかっていますが、楽しそうだという感想しか沸きません。

「貴方達がスヴェルフェン様をこの場所へ追いやったのですか。スヴェルフェン様のほうが立派でした。身の程知らずが……万死に値します」

 ホーラは静かに怒っていました。私もホーラの大切な人をこの場所へ追いやったことを怒っているのですよ?

 国王様は理由がわからないようで、不満そうな表情をしています。千年以上前の話なので、この国王は全く関与していないのでしょう。

 ですが、ホーラを殺そうとしたということは、この場所のことを知っているということです。

 思い付いた可能性がありますが、これは残酷なことですね。聞いてみますが、私の思った通りではないことを祈ります。

「ずっと不思議に思っていました。この場所には全く人の気配がありません。人ではない存在だと確信を持てますが、僅かに人と判別できる特徴を持っています。それがなにか知っていますか?」

「お主はなにを言っているのだ?」

 国王様を守る騎士ではなく国王様が私に問いかけます。意味がわからないですよね。国王様に問いかけたのではないので、返答は期待していません。

「その判別方法は音を聞くことです。ホーラからは心臓の音が聞こえます。現に貴方達に作り替えられた存在ではないディーネからは水の音しか聞こえません。この場所にいる者は人を魔物に改造された者ですね?」

「知られたなら仕方あるまい。ここにいるのは儂ら王族が改造した人間になるのう。お主らは神に創られた存在だと信じて疑わなかったようだがな」

「そんな……まさか。ありえません」

「まあ、お主だけは神に創られた存在になるぞ? 儂らに改造されたせいで記憶をなくしてしまったのは、唯一の失敗といえるのう」

 ここは現実と似て非なる場所です。ですから、もう一つの可能性を信じたかったのですが………。

 とりあえず、この人たちには縛られたままこの場所にいてもらいます。これだけで許されるはずありませんけれど。

「とりあえず、ウィレンのところへ行きましょう。怒りを抑えきれない気持ちはわかりますが、手を出してはいけませんよ。一応ですが、国王なのですから」

「わかっています」

「許せない気持ちがあるのですね。その気持ちはとてもわかりますよ。私も未だに許せないことがありますから……」

「ノウィル様にもそういう思いがあるのですね。できるだけ我慢しますので、早く戻ってきてください」

「もちろんです。ディーネはこの場所に残っていてもらえますか?」

「うん。ホーラを見とくね」

 ディーネは悲痛そうな面持ちでホーラのことを見ています。そういう思いをしたことがあるのでしょうか?

 いつの日か、その傷を癒すことができると良いのですけれどね。

 メーデンとエナにはウィレン達と別行動をしている二人のところに行ってもらい、私はウィレン達のところへ転移します。

 メーデンとエナを転移で連れて行こうと思ったら、二人に止められたのですよね。ダンジョン内であれば、転移と同じように移動することができるようです。

 マスターである私の許可が必要みたいですけれど。もちろん許可して転移してもらいましたよ?

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