表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/36

エクストラクエストの発生率が高いです

 私は庭園で感嘆の声を上げています。とても綺麗で澄み渡った星空と満月のコントラスト。

 そして、極め付きは着色料で染めていない青色の薔薇が咲いていることです。

 ゲームですからあり得なくはないのですが、実際に見るととても感動します。

「あぁ、とても綺麗ですね」

「私も初めてここに来たときは驚きました。この景色が大好きでして、仕える主ができた際は真っ先に連れてきたいと思っていたのです」

「前に仕えていた主はどんな方だったのですか?」

 興味本位で聞いたのですが、ホーラは想像以上に苦しい顔をしています。聞かなければよかったのでしょうか。

 ですが、これほど思われていた人のことは気になりますね。ホーラの気持ちが落ち着いたら、また聞きましょう。

「無理に言わなくても大丈夫です。言っても良いと思えるときに教えてください」

「いえ、ただとても良い方だったのです。遥か昔、千年以上前に内乱があったのはご存じですか」

「知らないです」

「そうでしょう。この戦いは秘匿されていますから」

 ホーラが話してくれた内容を纏めるとこうです。

 千年以上前、ほとんどの貴族が奴隷を従えていました。その奴隷達は反逆を起こし、種族間の垣根をなくすことを目的としましたが失敗したのです。

 そして、罪のない平民が大勢犠牲になりました。さすがに平民の訴えを無視できなくなった国王は奴隷制度の廃止を決定しましたが、まだ奴隷を従えている貴族が大勢いました。

 それななぜか? 奴隷制度がなくなったと平民には見せるだけで、国王も奴隷を従えていたのです。奴隷という存在は黙認され続けています、今も。

「酷い話ですね」

「ええ。前の主は奴隷側として国王に訴えた王子でした。奴隷達が負けると廃嫡されてここに幽閉されたのです。この島には古代の魔術が付与されています。ですから、ずっと浮遊し続けているのです。なぜ国王がここに幽閉することができたのかはいまだに謎ですけれど」

 可哀想ですね、王子様。それにしても、奴隷制度が廃止されていないとは虫唾が走ります。

 もしも街に行くことがあったら、貴族や王族は殴りましょう。でも、私にはそんな体力がないですね。それまでに鍛えておきましょう。

 それにしても、古代の魔術とはなんでしょう。魔法とは違うのでしょうか?

 〈エクストラクエスト〝奴隷制度の廃止を訴えよう〟が発生しました〉

 〈エクストラクエスト〝古代魔術と魔法の違い〟が発生しました〉

 エクストラクエストの発生率が高い気がします。なぜエクストラクエストが二つも発生するのでしょうか。

 エクストラというぐらいですから、あまり発生しないクエストなのですよね。

 古代魔術と魔法の違いは興味があるのでいいのですが、奴隷制度の廃止を訴えようは正直に言って危ないですよね。

 国王がここに王子を幽閉することができたということは、ここまで来れる移動手段があるということです。

 私の命も危ないですし、プレイヤーにも迷惑をかけるということになるでしょう。プレイヤーならまだ良いのですけれど、罪のない平民の皆様に迷惑をかけるわけにはいきません。

 確実な確証や私を追うことすらできない封じ手をもってクエストをうけなくてはなりませんね。

 ふと思ったのですが、ホーラって千年も生きているのですよね。どのような存在なのでしょうか。人とはだいぶ構造が違うようですし。これも例の特技からわかることです。

 〈エクストラクエスト〝宵闇の図書館の守護者の正体〟が発生しました〉

 やはりエクストラクエストの発生率が高いですね。なぜでしょう、心底不思議です。

 宵闇の図書館の守護者はホーラのことでしょうね。状況からして、ホーラしかいません。

 ホーラの正体は気になりますが、勝手に調べては信頼関係に支障をきたします。時が満ちたらホーラから話してくれるという可能性に賭けましょう。

 そもそも私は本を読みたいだけですし、正直クエストを達成したいという気持ちもないのですよね。

「大丈夫ですか、ノウィル様」

「大丈夫です。古代魔術と魔法の違いを聞いてもいいですか?」

「もう夜も遅いですし、明日にしましょう。眠らないと成長阻害が発生しますからね」

 現実と同じですね。眠らずに本を読んでいたせいか、私の胸は男の子並みにぺったんです。

 それもあってよく小学生に間違えられるのですよね。背も低いですし。

 ここで動くことで背が伸びればいいのですが、そう物事は都合よくないです。分かってはいても、望んでしまうのです。

「わかりました。眠ります」

「明日までにノウィル様の部屋を整えておきますね。今日はこの部屋で我慢していただけますか」

「大丈夫です」

 ホーラに案内された部屋のベッドはキングベッドサイズです。

 私が寝るところにしては大きすぎます。とはいえ、ホーラが言っているのはそういうことではないのでしょう。

 部屋の内装を整えて、女の子っぽい部屋にするということですね。そういう部屋には憧れがあるので、素直に任せておきます。

「おやすみなさいませ。ノウィル様」

「おやすみなさい。ホーラ」

本日二度目の投稿です。少し短いお話になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] “丁寧語貧胸ロリお姉様”とは恐れ入った。 多少の推測と多量の願望を含んでは入るが、もしやお姉様、“ジト目”なのでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ