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本好きゲーマー誕生!

「私はどうすれば良いのでしょうか」

 円錐状になった部屋の中心にある螺旋階段に腰を掛けながら、私――黒髪碧眼のノウィルは銀髪碧眼の弟――ウィレンに問います。

「なんですか。もしかして、世界中から集めた本を読み終わったとは言いませんよね」

「はい。読み終わってしまいました」

 私と弟がいる円錐状の部屋は私専用の書庫です。

 ここには何万、何億という果てしない数の本を私が集めています。紙で市販された本は約百年前に廃れてしまったので世界にほとんど存在しません。

 とはいえ、私が何億という数を集めることができるほどにはあるのですけれど。

 百年前には目に悪い光を発するなどを筆頭とする電子機器についての懐疑点がありましたが、研究が大幅に進んだことにより、電子機器についての懐疑点は全て消えました。

 そして、その研究成果として発売されたスノアという眼鏡型の機械は爆発的に浸透しました。仮想空間にアクセスをして、学業や旅行なども機械代を除けば無償で行うことができるからです。

 結果……生活必需品の中に電子機械という物が増え、紙や鉛筆という物は完全に廃れました。

「はぁ、そうですか。お姉様、スノアには生体登録していましたよね?」

「私は一日を通して書庫にいますから、スノアを使いません。ですから、数年前に生体登録をしてから更新していないと思います」

「スノアに毎日アクセスしていない人なんてお姉様以外にいるのでしょうか?」

 呆れたように目を伏せるウィレンはスノアを装着して何かを見ています。なにを見ているのでしょうね。私の本を読みたいという欲求を抑えてくれるものでもあるのでしょうか。

「僕がはまっているゲームを一度プレイしてみたらどうですか?」

「ゲームですか。苦手なのですが、大丈夫でしょうか」

 一度ゲームをプレイしてみたことがあるのですが、戦う方法が分からなかったために一瞬で死んでしまったのですよね。

 私は運動自体が苦手ですので、戦い方などわかるはずがないのですよ。

「まぁ、大丈夫でしょう。なにかあったら、僕にでも連絡してきてください。Another daily lifeというゲームです。もう一つの日常と謳っていますが、日本語に翻訳すれば、Another daily lifeは〝もう一つの日常〟ですからそのままですよね」

「そうですね。もう一つの日常ですか。楽しそうな謳い文句ですね」

「僕もこのゲームは傑作だと思いますよ。とりあえず、スノアの生体登録を更新しないことには始まらない」

 あまり表情を表に出すことがないウィレンが笑っているので、とても楽しいゲームなのでしょうね。ウィレンが笑うところは久しぶりに見ました。

「では、久しぶりにスノアを付けることとしましょう」

「久しぶりだから、ベッドにでも寝そべったほうがいいかもしれないですね」

「分かりました。ベッドですね」

「そうです。横になって使うというのが、スノア初心者の使い方ですから」

 私が頷くとウィレンはどこかに行ってしまいました。

 私の書庫に来ることはそうそうないですからね。私達は一緒に暮らしていてもほとんど顔を合わせることがありません。

 ウィレンは廃人ゲーマーというものらしいですし、私は本の虫ですからね。螺旋階段を上がっていきます。何段上がったのでしょうか。

 やっと屋根裏部屋に着きました。ここは必要最低限の物しか置いてありません。

 書庫で寝るためのベッドとゆっくり読みたいときに本を持ってきて読む用のソファーだけです。寝転がったところでスノアを付けましょう。

『スノアが起動されました。今日はどうされましたか』

 生体認証をよろしくお願いいたします。

『生体認証ですね。生体認証の登録が完了するまで、このまま動かないでください』

 分かりました。それにしても、脳の反応で私が思っていることを認識しているというのは、相変わらず変な感じがしますね。

『生体認証……10%……45%……80%……100%。生体認証の登録が完了しました。ファミリー登録されているウィレンから、メッセージが届きました。メッセージを見ますか』

 先程のことに関係があるのでしょう。メッセージを見たいと思います。

『わかりました。メッセージはこちらです』

 ここからゲームにアクセスしてくださいと書いてありますね。どうすればアクセスできるのでしょうか。

『リンクにアクセスします。ナビゲートは以上です』

 ありがとうございました。音楽が流れ始めましたね。Another daily lifeと書かれています。

『Another daily lifeへようこそ。新規登録ですか』

 はい、そうだと思います。なぜ登録をしなくてはならないのかはわかりませんが、新規登録でしょう。

『そうですか。キャラクタークリエイトをしなくてはならないのですが、この調子では無理でしょうね。名前と好きなものを教えてもらえますか』

 名前はノウィルです。好きなものは本ですね。このゲームがなんの目的で、なにをするのかはわからないのですよね。

 一つだけ願望を言うのでしたら、私は本を読むことが生きがいですので、本だけは読みたいです。

『わかりました。名前はノウィル、種族は読姫。スタート位置は宵闇の図書館です。では、いってらっしゃいませ』

 なにが起きたのかはわかりませんが、色々とありがとうございます。

 やはり、お母様とお父様が創ったAIは優秀ですね。私のお母様とお父様は世界で初めて人と同じ感情を持つAIを創った研究家です。

 お母様とお父様が創ったAIは世界各国に普及されています。ですから、私が使える資産は優に数兆円を超えます。

 それはウィレンも同じなのですけれどね。それにしても、読姫や宵闇の図書館とはどういうものなのでしょうか。

 読姫は本を読むお姫様ということですか。宵闇の図書館ですから、少し禍々しい雰囲気があったりするのかもしれませんね。 

 ゲームは難しくてあまりわかりませんが、せっかくウィレンに勧められたのですし、楽しみましょう。

読んでくれてありがとうございます! 評価してくれると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「螺旋階段を上がっていきます。何段上がったのでしょうか。」 そこは普通にエレベーターを作らない? 何段もいる家に階段を登る苦行は何だw
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