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第7話/影の裏の野心の星の①



 ――異世界に呼び出しを受ける直後、現世と分かたれる直前の日のことを夢に見た。



 その日、家に届いたばかりの小包みを開けようと思ったのは、単なる気まぐれだった。

 気まぐれ以外のきっかけを探るとすれば、「当選」と書かれたカードが挟まっているのを目にしたから、「何かが、無償で、当たった」事実が少女の手を動かしたのだろう。

 それに、油紙に紐を括りつけただけの、いかにも「小包み」っぽい荷物はどこか怪しく、最近では現代文でしかフィクションに触れていなかった少女の空想力をも掻き立てたのだった。


(まるで、魔女からのプレゼントみたい)


 その発想はあながち間違いでもなく、宛て名は「恋魔女協会」であった。梱包をほどいて現れた、大判で、縦長サイズのクリアケースは、ゲームソフトを保管するための入れ物によく似ていた。


(なあんだ、ゲームかあ。中身を見てみるのは……また今度でいっか)


 ノルマぶんの宿題を思い出し、少女がクリアケースを床に放置することを決めたところで、容器に収められたままのディスクがくるくると回転を始めた。見るからに異常な光景に、少女は目をみはる。


「――ご当選、おめでとうございます!」

「わっ」

「これより、ウタハさまが想い描かれた理想の異世界へご案内いたします! どうかその見事な発想で、我々を新たな夢の境地へお導きください――!」


(ああ、そうだった)


 少女・ウタハは回想する。


(あの場所こそが、わたしが願った夢の世界で……そして……)


 ――〈魔女〉に、利用されるための世界なんだ。



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