13/27
第5話/ウタハ、すずめをファムファタる①
「文門に、またもや異分子が紛れ込んだらしい」
薬品の臭いがただよう暗室で、無感動で淡々とした声が響く。
「忌々しい……陛下はなにを考えておられる」
熱のこもったトーンで誰かが答え、
「我々への当てつけではないか」
新たな影が歯噛みした。
「ともかく。この地上に奇跡は要らないのだ。我ら人界の徒には、それを補ってあまりある智慧が備わっているのだから」
ある者は低いざわめきを取りなすように共通の理念を述べ、それから部屋の隅でわだかまる静謐とした暗やみへ目を向けた。
「……やってくれるね?」
「ええ、もちろん。――星々の名の下に」




