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7話 悪魔襲撃ってね

レイフォード様の話をまとめると、王宮内にも敵は潜んでいる可能性があるらしい。

言われてみれば、王宮に使える従者は多く、その一人になれば、王宮のありとあらゆる場所に侵入可能だ。

だが、そんな中、ゲーム内には一か所だけ隠れ家的な役割となる場所があった。


「—————なるほど、図書室か。確かに、あそこに来る人は少ない。それに、万一来たとしても、入り口が一つしかないから相手が誰か直ぐに分かるという訳だな」

「ええ、フィアナが防御結界で守護する間に、私の攻撃魔術で吹き飛ばす。それが最善でしょうね。少しばかり、入り口が傷つく可能性はありますが……」

「その程度、二人の命に比べるまでもない。よし、そうしようか」


私が先頭を歩き、後ろをフィアナが守りつつ、図書室へと向かう。

図書室は、王宮からは離れているが、今居る場所からは近く、直ぐ建物が見える。


「少し待っていただけますか?」

「どうしたの?」

「お姉さま、魔力感知をお願いできますか?」

「ええ、“暴風”」


私の言葉により、辺りに暴風が吹き荒れ、周囲一帯の木々を揺らす。

カノンとフィアナは慣れているが、レイフォード様はギョッとした表情で私を見る。

そう言えば、レイフォード様の前で魔法を使うのは初めてかもしれない。


「レミリア。今の魔法は高等魔術か?」

「ええ。ですが、殺傷能力は無いのでご安心を。ただ、周辺に風を飛ばしただけですわ。まあ……少しばかり魔力も混ぜてはいますけど」

「それが感知魔法か?」

「魔力って、意外と遠くでも感じ取れるんです。例えば、魔力の塊を木々にぶつけると、衝撃波が発生しますよね? 後は、その衝撃パターンを覚えておけば、人か木々か判別できるのですよ」

「そ、そんなことが……!」

「レイフォード様……そんなことが出来るのはお姉さまくらいですから」

「リア姉さまは天才だから当然」


三者三様の態度を見せます。

カノンとフィアナは自分のことかのように自慢してくれます。

ゲーム内で苦労して考えたオリジナル魔法だから、レイフォード様の反応が当たり前ですね。

実際、私が魔法をゲーム内の掲示板に発表した時も、最初はチートと疑われましたし。

それに、他に使える人が居るという話は聞いたことがありませんが。

私が知らないだけでしょうね。


「それで姉さま、近くに人影はありましたか?」

「ううん。今の所は居ないみたい。一番近い人影は王宮の方かな。だから、図書室に入る所を見られる心配はないかな」

「それは良かったです」

「でも、いつ追手が来るかは分からないわ。早く入りましょう」


図書室へと入り、念のため入り口の閂を閉じる。

これで、普通の人間であれば、入ってくることが出来ないはずだ。


「では、今は休みましょう」

「では私が起きるとしよう。皆、休め」

「そんな訳にはいきませんわ。私が、見張りをしますわ」

「レミリア、お前が言ったのだぞ? 入り口は一つしかなく、殺し屋が入るとしても、必ずそこを通る必要がある。それならば、魔法が使えない私が担当するべきだろう」

「そうですわ。姉さまは攻撃の要。ですので、私が見張りをしますわ。姉さまはお休みください」

「リア姉さま、今は力を蓄えるときですよ」


三人から矢継ぎ早に身体を休めるよう言われてしまう。

確かに、この中で一番攻撃魔法の適性が高い私が休んだ方が効率的かもしれない。

だけど、私だけは知っている。

—————殺し屋は姿を消す魔法を使えることを。


そして、それを伝えた所で、三人には対応できないということも。

それ程までに優れた殺し屋がイベントには登場する。

ゲーム内で数十ある運営の失態。その中でも、一番意味が分からないのが、

最初のイベントにしか登場しない殺し屋を最強キャラにしてしまったことだ。


だが、そこは流石イカレテイル運営陣。

ゲーム内で、脇役を殺しただけで、後は登場することがなく、後は何一つ情報が出てこないのだ。

だけど、私が居ることで、ストーリーが大きく変わる可能性がある。

今ですら、破壊女王と呼ばれるなど、地位が大きくなり過ぎてしまった。

それに、妹のフィアナが聖女と魔女、両方の称号を手にしたことで、羨望だけでは済まない可能性もある。

だからこそ、ここに来ても何一つ安心はできないのだ。


だけど、それをどう伝えるか悩ましい。

私が知っている未来を伝えることで、より一層未来が変わっていくかもしれない。

それこそ、私が知る世界とは異なった事象が生まれるかもしれない。


だから、私は—————


「では、皆で警戒しましょう。次に起きたら、皆が倒れているのは嫌ですわ」


我儘でアホな姉を演じてみせよう。

三人を護る為に。


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