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30話 知らないってね

30話 知らないってね



人攫いの迷宮ハーメルン・ラビリンス


まるで童話に登場する男が体現したかのような迷宮。

一瞬、目線を外しただけで分断する。それは、大人数で挑む迷宮攻略であれば、大いに影響を及ぼすでしょね。それを踏まえれば、二人で挑むことは良いのかもしれない。

なんせ、カノンには光の精霊が付いている。一方、私も精霊から借りた魔素が大量にある。勿論、帰還用の分を残さないといけないけれど、それでも十分に戦える。


問題は、この迷宮に魔法が通用するか、その一点だ。

そもそも、こんな風に分断される原因となったのは光の精霊が扉に魔術を放った為でしょう。だから、ここでは魔法による効果はなく、意味を為さない。魔法殺しの迷宮かもしれない。


「なんにせよ、ひとまずは合流するしかないですね」


カノンとの話の途中。

光の精霊と友達であり、シルフィアという偽名を持つ理由。

それが中途半端なまま別れた為、正直今は顔を合わせたくない。

むしろ、現状は好都合だったりする。


良く分からないけれど、カノンは勘違いをしているかもしれない。

まるで、最初からカノンの正体を見破っていた。そして、それを嫌っぽく追及して、追い詰めた。客観視すれば、そんな風にカノンは感じたのかもしれない。


まあ、最終的に光の精霊が話すことを認めたのだから、そうそう変な事にはならずに済むと思いたい所ですね。





少し階段を降りると、銀色の装飾が施された扉が目に入る。

流石に、自然に出来た洞窟とは思えなくなる。

それに、今の王国では見たこともない紋章。

紅色の落ち葉のようなものに大剣が突き刺さる。そして、それを蛇がどくろを巻いている。

悪趣味とも言える紋章。もし、貴族で使っていれば、それだけで叩かれること間違いなしです。


扉に手を触れ、魔法を込め押してみる。

物理的に押す必要があることはなさそうだ。そして、色々な属性の魔法をぶつけるも、何も反応は無い。

やはり、ここは魔術師専用の迷宮なのでしょうか。

全くついていない。


救いがあるとすれば、脇道に数か所、洞窟のようなものがあることでしょう。

それすらも罠の可能性もあるけれど、魔術を使えない者の為に用意されたとも考えられる。


「だけど、それならここの迷宮はただ自然にできたとは考えられなくなるのよね」


迷宮が出来た後、人為的な改造が施された。そして、いつしか、誰も使う人が居なくなった。

そう考えると、辻褄が合うのかもしれない。


古の古代文明。

もはや文献など残っておらず、詳細は不明。その遺物が今いる場所であれば、理不尽で合っても、進む手段は残されていると信じましょう。


最悪、残りの魔素全てを使って、地上へ風穴を開ければ済む話。

その場合、カノンを置いておくことになるけれど、レイフォード様と大精霊に助力を求めれば、なんとでもなる。今は、目の前で消えかけている精霊救助が最優先ね。




右左、複数の洞窟が続いている。サイズは大人一人通れる程度。

もし、岩盤が崩れれば、助かりようがないでしょう。


不安で足が進まない。最悪の未来を想像してしまった。

だけど、それはカノンも同じはず。


年下の少女をこの迷宮に取り残す訳にはいかない。

だって、私は二人のお姉ちゃんなのだから。





炎魔法で照らした道を駆ける。

地面は硬く、まるで押しつぶしたような作為を感じる。


そして、一つ扉が見える。

黒扉に触れ、魔法を使う。これも反応なし。

けれど、右側に取っ手のようなものが付いている。


試しに、握り引く。

すると、扉がこちら側に開き、明るい光が飛び込んでくる。

視界がぼんやりとするも、今度は目を離さず、しっかりと見る。


「これは……絵画?」



巨大な部屋を覆い尽くす巨大な壁絵。

それが、目の前を埋め尽くす。そして、空間の中央には、古びた黒石の台座が置かれている。

台座の中央。そこには、宝石のような輝きを放つ水晶がガッシリ埋め込まれていた。


「迷宮のコア? それにしては、違うような」


前に見たコアとは違い、純度が高い宝石のようだ。

顔を近づけると、宝石内部の光が移動しているのが見える。


「変わった宝石ね。それにしても、ここは祭壇かしら?」


壁絵を見てみる。

そこには、人のような存在が空へと向けて、何かをしている姿が描かれている。

天に輝くのは、星々。そして人に似た何かが浮いている。


これは、神様?

それとも、精霊?


どちらかは判断がつかない。ただ一つ分かるのは、ずっと昔から、人々は超次元的な存在と関わりを持つこと。そして、王族のような支配者が居たこと。


それは、かつて見た海外の絵画に似ている。



それにしても、あまり考えてこない様にしていたけれど。

この世界はいつからあるのだろう。


ゲームのように、数秒前に出来たばかりの世界説。

過去の記憶すら、今作られたものだという荒唐無稽な仮説。

信じようにも、証拠など用意できるはずもない話。


けれど、ゲームでは背景を綿密に作れば、可能。

そして、ここはゲームの世界。


だからこそ、これは誰かが置き換えたデータかもしれないですね。

そう考えると少し、恐ろしい。


自分の過去ですら、誰かが作った情報に過ぎないかもしれないと。



「まあ、考えても仕方がないことね。もし、神様なんて存在が居るのであれば、その時にお話しするだけね」


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