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28話 知り合いってね



「っ……」


思わず叫んでしまいそうです。

口を片手で隠し、何とか声を出さずに済みましたね。

全く、とんでもない事を平然と口走るカノンに驚きすぎて、もはや何が何だかわかりません。

そもそも、あの会話の流れで、どうしてこうなったのでしょう。


それに、カノンとフィアナが同一人物なのは知りませんでした。

そもそも、ゲーム内ではフィアナ視線で物語は進み、攻略対象に女性は含まれていなかったので、情報が少ないのよね。

これが百合要素があるゲームなら彼女の秘密を知る機会があったかもしれませんが、年齢的に考えても無理な話ね。犯罪よ、犯罪。


「リア姉さまはどうなされるのです?」

「え?」

「わたしの秘密を知って、このことをフィアナや兄さまに伝えますか?」


はてさて、どう答えるのが正解なのかしら。

そもそも、変装した姿でカノンが現れたことの意味が分かっていないのだ。

もしかしたら、御忍びで出かける途中に偶然、私と出会っただけかもしれない。


今の所、カノンが嘘をついていたことで、何も迷惑を受けていないのだ。

だから、隠し事をしていたことは正直、どうでもいい。それを言えば、私の方が、酷いのだから。


だけど、もう一つの要素。

カノンが光の巫女であることは見逃せない。

私の生死に関わる可能性がある重要案件だ。


「それで、カノンはいつから光精霊と知り合ったのかしら?」

「それは……うん分かったよ」


虚空を見つめ、頷くカノン。

前から不思議ちゃんと思っていたが、その姿は少し怖い。

まあ、精霊とコンタクトを取っているのでしょうけど。

その姿を観衆の前で晒せば、不気味な王族と叩かれそうですね。


気に掛けてあげる必要がありそうね。



「リア姉さま。わたしは嘘をつきました」

「そうね。でも、王族であれば、変装用の魔法道具を一つ持っていてもおかしくはないわ。普通の令嬢に比べて身の危険があるのですし。でも、そうね。……一つだけ教えてくれる?」

「はい」

「先ほどからお話ししているのは、光の精霊で間違いないかしら……?」

「うん。姿を隠しているから、誰にも見ることはできないけど。確かに、ここに居るよ」


予想通り、光の精霊のようだ。

光を扱う精霊であれば、周囲の光源を操作し、自分の姿を消すことができそうだ。

でも……あれ……?


精霊と契約できるのは、一人一つ。

それは、誰もが同じ条件。勿論、契約を解除すれば、新しい子に出会えるけれど。

……カノンって、光の精霊と契約している?

でも、私の提案に乗ってくれたし。いや、それすらも嘘だった?


カノンであれば、そんな無意味に終わるような提案をのまない。私の考えに間違いがあれば、直ぐに教えてくれるだろう。

だけど、今のカノンはいつもとは違う。


二重人格のようなもの。

いつもと、性格が反転しているかもしれない。

どうしよう……。


「それは契約しているということ?」

「ううん。違うよ。この子は、わたしの友達です」

「そうなのね」


カノンは誰とも仲良くできる。それは万物全て。

まさか、精霊とも友達になるとは、驚きだ。

これで契約していたら、兄弟そろって高位精霊と契約をしているという超人兄妹になるところね。


「カノン。教えて欲しいことが山ほどあるけれど……精霊の力が弱まっているの。だから、今度こそ、力を貸してくれる?」

「ええ、勿論です。リア姉さま、わたしは何をすればいいですか?」

「光の精霊を通して、魔術を使ってあの壁に放ってくれる。私の予想が正しければ、あの壁は魔術を糧に発動する条件があるかもしれないわ」

「魔術。ねえ、使える? ほんと、お願いしますね。……。リア姉さま、どうやら魔術をいくつか使えるみたいです」


カノンが精霊と会話した内容を伝えてくれた。

光の精霊自ら協力してくれるのであれば、何とかなりそうだ。

そもそも、魔術について知っている精霊って何者?

少なくとも会話できる時点で、レイフォード様と契約した大精霊のように自我をもっているのは確かだ。それも、難解な魔術を理解できるほどの経験を持っている。


下手すれば、大精霊と同格の存在かもしれないですね。


「とりあえず、エネルギー系の魔術をお願いできるかしら?」

「うん。やってみるね」


カノンの魔素が莫大に膨れ上がる。

この場には魔素がほとんどないから、光の精霊が持っている魔素から引き出しているのでしょうね。

まあ、魔術に必要なエネルギーが魔素ではないかもしれないけど。


「…‥‥行きます!」


カノンの両手から眩しい光が壁へと投射される。

その光量は強く、思わず目を閉じ、手で覆い隠す。それでも、眩しいと感じてしまう。

これ、失明してないわよね?


「あれは……」


カノンは平気なのか、呆然とした呟きを零す。

くらくらする瞼を開き、次第に見えてくる光景。


先ほどまであった扉は消えていた。

やっぱり魔術の力でできたものだったようだ。

そして、暗い底に通じる階段のようなものが見える。


どうやら、この先に行く必要があるようだ。


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