20話 振り返りってね
20話 振り返りってね
振り返りの時間です。
年齢不詳で進めていたので……
転生前の年齢は高校生くらいと思ってください。
一話冒頭の幼き声は、脳が覚醒していなかった為です。
情報を整理しよう。
私の名前は、レミリア。ヴァーシュピア家のレミリア。
突然、身体中が燃やされ、気づくと美少女の姿に転生していた。
その姿は画面越しに何千回も見た令嬢の姉。
魔女認定を受け、魔界へと追いやられてしまい、戦争で死んでしまう不幸の少女。
追放されるのが、16歳だったはずだから、ゲーム開始5年前に飛ばされたようだ。
だが、私が転生し憑依したことで、物語の運命は大きく変わった。
まず、何故か魔女認定を妹のフィアナが受けてしまった。
それも聖女と魔女、両方の称号を受け取ってしまった。
称号、それはゲーム内では神託として扱われていた。
聖女もその一つだ。ゲーム内では一人だけ存在した。
次代の聖女を担う存在を教会の巫女の少女に示唆されるのだ。
それは、国中をお祭り騒ぎへと招く程におめでたい。
しかし、本来なかった魔女の称号までも受け取ることで、ほとんどの時間、幽閉されることになってしまった。
魔界に行きたいと駄々をこねて、幽閉された私とは大違いだ。
幸い、両親は娘たちへの愛情は深く、豪華な部屋へと様変わりし、温かい食事を三食用意してくれている。
日によっては母様自ら、塔最上階に来ていただけるほどだ。
まあ、私の時は自暴自棄になったと思われて、フィアナしか面会に来てくれてなかったけれど。自業自得だから仕方がない。
あの時の私は、一刻も早く、魔界に言って、あの方にお会いすることで頭が一杯だった。
それに、いつか魔女として国外追放される運命だからどうでもいいでしょ、と子供じみた反応をしてしまった。ほんと、みっともないわね。
そうして、ゲームとは異なる運命を進んできた。
だけど、一つだけおかしいことがある。
それは、レイフォード様の反応だ。
ゲーム内では、レイフォード様とレミリアの関係性はほとんど描かれていなかった。妹のウィアナとは親交が厚かったけれど。その場に、レミリアは出てきていない。
追放されるまでの数年間、一度くらいは顔合わせが合ってもよかったはずだ。
なのに、今の私を振り返ると、毎週のようにレイフォード様にお会いしている。
それも、表向きは笑顔を浮かべたレイフォード様が。
つい先日も、御忍びで城下へと向かわれる殿下に誘われ、表向きは二人きりで買い物を楽しんだ。後ろからは数人の騎士が重い甲冑を着込んで、覗き込んでいたが。
私もレイフォード様も気づかないふりをした。
そして、お遊びのさなか、レイフォード様が渡してきた小箱。
その中身は、高級そうな魔法指輪だった。
たぶん、指輪に埋め込まれた水晶には、魔法使いなら誰もが欲しい、魔力増幅の機構が埋め込まれていた。
価値にして、ゲームを数百回ゲームエンドするまでに手に入る金額と同等、それ以上だった。
流石の私も手が震え、思わず落としそうになってしまった。
その様子を笑顔で見つめてきたレイフォード様の顔は忘れられない。
きっと、貧乏性の私に高価な物を見せつけて、驚くさまを見たかったのだろう。
そして、落とした私を揶揄うつもりだったに決まっている。
だって、ゲーム序盤で親密度が上がり切っていない状態で、そんな行動を起こす訳がない。
けれど、笑顔で渡すレイフォード様にお返しするのも憚られ。
その日は持ち帰ってしまい、フィアナに相談したところ、相手の気持ちを素直に受け取ればいいとか、適当なことを言われてしまったのだ。
だから、間違えて入っていましたよ、と失礼を承知で返却したのだ。
その時、レイフォード様は残念そうな表情を浮かべていた。そんなに自分の思い通りにいかなかったことが気に入らないのだろうか。
……。
あと日記に書くことは……やっぱり最近の戦いかしら。
最強の殺し屋、死精霊騎士との戦い。
どちらも、私の身体がボロボロになるほどに酷い戦いだった。
もし、教会の回復術師の方が、王宮に居なければ命が危なかったとレイフォード様からは釘を刺された。何でも、国一の回復魔法の使い手が、偶然、王城に招かれていたそうだ。
何とも、偶然が重なり、命を助けてもらえたみたい。
最近、死に掛けることが多い。
令嬢なのに、何故……?
もともと、恋愛ゲームなのに、何でこんなに戦闘の矢面に立つことが多いのかしら。
私、本当に令嬢よね……?
いくら考えても分からないことは置いといて。
次は、学院編を書いておこう。
国外追放されるまでの数年間、レミリアは王立学院へと通っていた。
ゲームでは、フィアナの視点で描かれ、多数の恋愛キャラが登場していた。
そして、恋愛ゲーム特有の庶民キャラも登場する。
そんな彼ら彼女らと、もう少しで会うことになる。
ゲーム内では、怒涛の勘違いが起こり……半分以上は仕組まれていたが……魔女認定を受ける足掛かりとなる。
そう言えば、称号は途中で消えることもある。
例えば、聖女や剣王だ。
老化し、身体が重く動けなくなる前に、次代の才能に託す。
それを思えば、魔女だって途中で他の誰かに移る可能性もあるかもしれない。
今まで、ずっと安心していたが、それはヤバイかもしれない。
学院で起こる勘違いが引き金となり、ゲーム通り、魔女認定を食らう可能性もある。
フィアナと違い、私は聖女の称号はない。
いくら強いと言え、それが逆に危険視される可能性はある。
いくら姉想いであるフィアナも王族、両親の命令には、背けないだろう。
そんな事をすれば、ヴァーシュピア家に傷がつくことを知っている。
――ああ、油断していたかもしれません。
まだ、私の安泰は無かった。
学院での立ち位置を考えとかないと……‼




