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12話 最強の姫ってね

「全ては世界の終わり——“アンノーン”」


魔力発動の条件はそろった。

後は鍵を開くだけ。


「おいおい、マジかよ。アンリ様の攻撃よりもヤバいかもしれねえ」

「噂はマジだったてっか」

「アレがこっちにこないよな?」


誰もが魔力の余波を感じ取る。

それはアンリとバルディアも同じだ。


「魔力がいくつも混ざっている。あれは複合魔術ね。だけど、それだけじゃあない気がする」

「我の知っている魔法とは少し違うな。勇者の魔法とは違う。アレがこの国の術式か」


二人が見つめる先、膨大な魔素が広場を覆いつくす。

レミリアの表情は変わることなく平然としていた。


「はぁ。また面倒ごとになりそうだ。矢面に立つのは私になるのだろうな」


つい最近、レイフォードはレミリアの真の強さを眼の当たりにした。

そして、それが底では無かったのだと思い知らされる。

魔女兼聖女であるフィアナ嬢の姉としか、民には思われていない。

むしろ、妹の方が優秀だと噂になるほどだ。

だが——


「君の後を追うのは大変だな……。いつか。到達するのだろうな」


『————“ラプラス”』


超巨大な魔法陣が光り、とある魔法が顕現する。

“アンノーン・ラプラス“。


扉はチリと化し、地面は焼け落ちる。

迷宮でなければ、二度と人が住まう土地に戻れない程の、大規模の攻撃術。

それが、堅牢な迷宮の大扉を打ち破る。


「——こんなものね」


誰もが声を発せない。

迷宮の主に匹敵するような、強さ。

魔法を極めし、大賢者の再来だと誰もが思う。

だが、レミリアは——


(まぁ、もっとすごい魔法はあるのだけど。この程度の迷宮なら、これで十分ね)


一人、呟く。

運がいいのかそれは誰の耳に入ることもなく、歓声によって掻き消された。



迷宮の最深部。

そこには、赤く光る水晶が埋め込まれていた。


「これが、この迷宮のコアです。これを取ると、迷宮の力が消え去り、モンスターが生まれなくなります」

「そうなのね。見た感じ、魔素の塊って所かしら」

「あの、この所有権なのですが……」

「ああ、そうね。使い道として、私は要らないのだけど。レイフォード様は必要ですか?」

「うん? そうだな。研究材料としては欲しいが。だが、今の王国にとっては不要でもある。レミリア。君の判断に任せるよ」


重大な役目を押し付けられる。

ゲーム内では登場していない水晶。これを研究すれば、新たな魔法が作れるかもしれない。

それこそ、三大迷宮を通るヒントになるかも。

だけど、今は研究設備はなく、有効活用できる気がしない。

だから——


「アンリ、これは貴方に託すわ」

「いいのですか? これは貴重なものですよ?」

「ええ。でもその代わり、一つお願いを聞いてほしいの。今後、三大迷宮に関する情報が入ったら私に教えて欲しいの。些細な情報でも構わないわ」

「そ、そんなことでよろしいのですか? 私が言うのもあれですが、対価として釣り合わないですよ?」

「ええ。今の私にとっては、重要なことよ。だから、お願いできるかしら?」

「はい! 勿論です。でも、他にも何か困ったことがあれば、何でも言ってくださいね」

「その時はお願いするわ」


コアを抜き取り、アンリに手渡す。


「ありがとうございます——っ!」


だが、アンリの手に触れる寸前。

何かが私の手から水晶を掠める。


「誰かいるわっ! 敵よ!」


私の声に、周囲に緊張感が戻る。

誰もが周囲を警戒し、敵を探す。

だが、どこにも見当たらない。


「そんな、あれは……」

「アンリ、どうしたの?」

「あの影を見てください。あそこに敵がいます」


アンリが指差す方向。

そこには、暗闇が広がり、大きな影が出来ている。

それだけなら、問題はない。

だが——


「——影が動いている? “フレア”」


不気味な影に向けて、炎魔法を放つ。

だが、魔法は爆散することなく影に飲み込まれて、消えた。


「なにアレ……?」


ゲーム内で登場していた記憶は無い。

ならば、文献とかならあったかもしれない。


思い出せ。思い出すのよ、悪恋辞典!

私が一番あのゲームを熟知していた。ならば、何か知っているはず。


「くそっ、斬撃が通らん。実体がない!」


バルディアの声が聞こえる。

実体のない敵。


「それって、もしかして……」

「レミリア、何か知っているのか?」

「はい、レイフォード様。あれは“黒の化身”です」


黒の化身。

ゲーム内では、死精霊騎士と呼ばれていた怪物だ。


「黒の化身? それはもしや?」

「ええ。あれは、人ではありません。精霊の成れの果て。三大精霊王の一つ、それが色を失い変貌した姿ですわ」


三大精霊王。

精霊たちの王たる素質を持ち、自我を持つ精霊。

その内の一つ、“灰色の精霊”。

それが変貌したのが、死精霊騎士だったはず。


ゲーム内では、不死身な化物として登場していた。

正体が明らかになるのは終盤だが——


アレ?

もしかして、ここで正体を言うことってアウト……?


「レミリア! 油断するなっ!」


「炎の杖。かの者を守護せよ」


死精霊騎士が私に襲い掛かるも、アンリの炎の結界に阻まれ、弾き飛ばされる。


「くらいなさい! “フレア”」


瞬時に、攻撃魔法を放つ。

先ほどとは異なり、影から出た影響か攻撃が通る。


「アンリ、バルディア。あいつには物理は効かない。けれど、魔法なら!」

「承知。破神剣!」


バルディアが2mは超える黒の大剣を取り出す。

そして、死精霊騎士へと切りかかり、剣戟が響く。


「アレは魔剣?」

「はい。とある鍛冶師が作り出した魔剣。名をアルカロンですわ」

「はああああああああ!」


バルディアと死精霊騎士が向かい合い、バルディアの一撃が切り伏せる。


「やったか?」

「いえ、まだです。あいつは回復します」


私の言葉通り、死精霊騎士の損傷した身体が元に戻る。

やっぱり、尋常ではない回復力だ。


やはり、攻略法はゲーム通りのようだ。

開発陣がおふざけで造り出した怪物に唯一、通じる攻撃。


——死精霊を精霊へと戻すしかない。


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