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第91話
「きゃっ」
突然の風が、御札を吹き飛ばす。
どうやら、緒方が風を吹かせたようだ。
「さすがに私有地で魔法を使うのははばかれるからな。ここから使わせてもらったぞ」
春香は崩れた前髪を手で押さえつつ、それでもなお逃げようとして活路を見出そうとする目をしていた。
「いま、周辺には移動魔法をした瞬間に追跡できるような魔法をかけておきました。あなたが逃げたとしても、必ず追いかけることができます。宇宙の果てまでも」
平塚が見せたそれは、小さな虫のように見える。
だが、ほぼほぼ純度100%の魔術粒子であり、これによって、魔術を追尾するエネルギーを得ることができるようだ。
もちろん、何十回と転移魔法を使い続けていればいずれ尽きて消える。
しかし、それは一般人である春香には知らないことだった。




