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第6話

 10分ほどして、白衣を着た女性が総合受付へとやってきた。首から名札が下げられているが、ふらふらとあちこちに当たっているため、名前を読み取ることはできない。ただ、白衣の裾に縫い付けられているポケットからは聴診器のようなものが見えた。彼女が近づいてくるにつれ、わずかではあるがたばこのようなにおいがし始めた。どうやら、愛煙家らしい。

「久しぶり、だな」

 3人は彼女がようやく立ち止まり、それで名前を確認することができた。岸本志穂きしもとしほ、魔術医師と肩書には書かれていた。

「そうだな」

 声をかけたのは、当然のことながら平塚だ。彼の知り合いということでここにきているのだから、当たり前の話ではある。

「電話で聞いたが、ここではなんだ。少し場所を変えようじゃないか。会議室を借りているからそこで」

「ああ、こちらの紹介はその時に」

 平塚が緒方へとアイコンタクトをとる。少しだけうなづくのを確認してから岸本について、玄関から離れていった。


 5分かからず、病院の職員専用エリアにある小さな会議室へと入る。10人が定員だろう。そこには一人の女性が待っていた。

「こちらから紹介しよう。私はこの手野大学付属病院で一般医師と魔術医師を兼任している岸本志穂。専門は魔術脳症だ。一般人だが、高等魔術師資格を持っている。そこにいる平塚とは大学院で同じ研究室だった縁がある。それで、この部屋で待っていてもらったのは根岸居芦ねぎしいろさんだ。魔術師の家系に生まれ、一般医師の資格を持っており、ここの病院では魔術医師として研修中の身。私がその世話人を務めている。彼女の専門は今回の業務にうってつけの、魔術薬物だ。もちろん、君らが許可したうえでの参加となるが、どうする」

 平塚を見ながら確認を取るが、平塚は今回の班長である緒方へと話を振った。その緒方は専門家の知識も欲しいという理由で了解した。もちろんのことではあるが、守秘義務契約にサインをもらったうえで、さらに緒方らのそれぞれの自己紹介も済ませる。

「……では、さっそくになるが、話を進めていこう。まず、確認ではあるが、君らは魔術ドラッグについて、どのようなものがあるか知っているか」

「大きく2つ、御札タイプ、それと飲み薬タイプじゃなかったか」

 緒方が岸本へと答えた。そうだ、といわんばかりに嬉しそうにうなづく。

「そうだ。飲み薬や御札、それぞれ特性が決まっているが、その中毒症状についてはおおよそ同じような経過をたどる。魔術ドラッグでは、それをいくつかの期別に分類し、整理している。さらに個人差によって進行度合いも3つに分類され、それぞれの治療計画が立てられる。と、この辺りは専門家に聞いてみよう」

 岸本はそう言って根岸に話をするように促した。根岸は少し緊張した顔つきでそれでも4人を目の前にして堂々とした表情で話し出す。

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