第44話
それからも、しばらく質問をしたが、有益な情報は得られたと判断し、病院を辞することとした。
「では、また何かありましたら、ご連絡をください」
名刺は前渡したので、今回は渡していない。どうせ、こういう定型文の時には連絡がこないということが定番だからだ。
「ええ、何かありましたらまた連絡します。お疲れ様です」
受付まで見送ってくれる岸本と根岸に別れを告げて、緒方らは手野病院を病院を後にした。
警吏所の捜査室に戻ると、情報を整理しつつ、今後の方針を立てる。
「北山鈴、横上桂、それに宍粟晴香。この3人のうち、焦点は北山に絞るものとする。現在のところ一番手掛かりが多いのが彼女だからな」
「それについては分かったわ。でも、他の2人についても並行して調べるべきじゃないかしら」
緒方へと提案をするのは根来だ。
「それもそうだが、何か手掛かりがあったか。しいていうなら、3人が一緒に魔術ドラッグを作っていたっていうことぐらいだぞ。あとは同じ暴力団に属しているていうことか」
「そうね、でも、一緒にいたってことは、彼女を追いかけていくうちにどこかで接点が見つかるんじゃないかしら。その時からでもいいから、別れて捜査をするべきだと、私は思うわ」
「……それは、その時に決めよう。少なくとも今は、彼女、北山に4人とも集中する。それでいく」
「了解。で、どうする」
決まったならばそれに従うという態度で、放出が緒方へと聞いた。
「とりあえずは、昔住んでいた大学の寮へ無会ってみよう。寮母なら何か覚えているかもしれない。あとは、大学へ問い合わせておいて、他に資料が残っていないかを尋ねる。まずは手野大学だな」
「了解」
方針が決まると、それぞれが動き出した。




