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第42話
「ええ、まあ。少しは」
緒方がそう間を持たせたうえで、放出が根岸へと質問をぶつける。
「少しばかり、彼女のこと、北山鈴さんのことをうかがってもよろしいでしょうか」
「どうぞ、とはいっても、私が知っている彼女については、もう数年前より昔の話しかありませんけど。それでもお力になるのであれば」
根岸がその気持ちを伝えてくれる。質問は放出が基本的にすることにしていた。女性には女性が質問したほうが、答えやすいだろうという配慮ということもあるが、魔術に詳しくない人の方が、いい点に気づいてくれるかもしれないということも考えてのことだ。




