表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師の功罪  作者: 尚文産商堂


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/151

第23話

 扉を出ると銀行のような風貌の部屋があった。アメリカにでもありそうな、格子戸越しでしかやりとりができないような構造になっており、格子戸以外のところはガラスか、あるいはアクリル板のような透明な板で完全に仕切られている。格子戸は全部で5つあり、それぞれにラフな格好をした係員が座っていた。

「店長、準備はできています」

「よし、じゃあ後は頼んだぞ」

 梁塵はここでは店長と呼ばれているらしい。

「一行が不便しない金額を支給してやってくれ。あとは適当にするだろう」

 梁塵が行ってきた店員に伝えて、それから店長と書かれたプレートの後ろにある、黒革で作られた椅子に腰掛けた。

「こちらへ。まずは口座を作っていただきます。口座は3種類、外でいうところの、普通預金口座、当座預金口座、そして定期預金口座になります。ちなみに、当座預金あるいは定期預金の口座を作成するともれなく普通預金口座も同時に作成されます。普通預金の場合は、別に申請をすることによって、当座預金あるいは定期預金、もしくはその両方が作成されます」

「いや、普通預金だけでいい。それと、両替も頼めるか」

 さっさと済ませたいらしく、緒方は店員にすぐに指示をした。お金自身は梁塵からあらかじめ受け取っていたものがあったので、それを元手にして口座開設のための資金とする。

「はい、承りました」

 4人分の口座を作成すると、通帳を発行してくれる。

「あれ、身分証とかはいらないの?」

「身分証がない方も多くおりますので。この通帳があれば、誰でも引き出し、振込を行うことができるようになっています。なので、カードの類もなし、本当に、この冊子タイプの通帳の身が、あなた方がここに口座を開設したという証拠になります。なくされますと引き出し、振込は不可となり、全て当行が徴収します。また、1年以上動きがない口座についても、閉鎖口座とされ、一切の手続きが不可能となります。さらに、この通帳については再発行はできません。代わりに1人でいくらでも口座を作成することができます。手数料は取りませんが、他の金融機関とやり取りすることはできません」

 通帳を受け取りつつ、4人はこの銀行についての説明を受ける。そもそも銀行とだけしか呼ばれていないが、負犬地区では銀行と呼べるような金融機関はここしかないため、それでも十分なのだという。手数料がないが、銀行でできるものといえば預金を預けることぐらいで、利息すらほぼないらしい。一応の利息らしいものはあるそうなのだが、それも銀行側の気まぐれであっさりとなくなることもあるそうだ。また通帳記入は全て手書きであるため、見間違いで、という理由で減ったり増えたりすることもあるらしい。だが、それらも含めて一切の異議申し立ては認められないということだ。

「………では。ようこそ、当行は貴方方を歓迎いたします」

 通帳に最低口座開設金額の1000KATが振り込まれていることを、行員は確認するように告げ、4人とは別れることとなった。緒方らは通帳をもらいたてのカバンに入れ、あるいはポケットにしまい、銀行の建物から一歩外へと出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ