第17話
洞窟というにはかなりしっかりと整備をされているトンネルを抜けると、階段を上り、民家の一室へとやってきた。周囲はコンクリートうちっぱなしの、車でも置いてありそうなガレージといったところだ。違うのは、出てきた扉のほかには、一つだけしかドアがないということと、シャッターのように車の出入りに必要なものは一切ないということだ。そのドアの方へ歩こうとすると、向こう側から開かれた。
「おや、お客さんかい」
まだ火をつけていないたばこをくわえた女性だ。声が少し低く感じるが、身長は160から170に少し届かないぐらいの間だろう。彼女が入ると同時に、ガレージの中についていた蛍光灯以外のライトが灯り、全体が見回せれるようになった。
「今日の月は、どんな月でしたかね」
彼女が4人に話しかけてくる。
「さあ知らないな。でも月はいつも同じように輝くだろう」
緒方が彼女へと答える。
「では太陽は、どんなふうに輝くのでしょうか」
「それも知らないな。太陽は太陽の勝手だろうからな」
それを聞いて、ようやくたばこを口から離し、彼女は緒方らに左手を差し出す。
「情報屋からの客人だね。あたしはここの番人の一人さ。梁塵と名乗っている者さ」
「歌手か何かですか」
ほっとした放出が梁塵に聞く。
「この負犬地区一の大スターだよ。ま、ここにたどり着くまでいろいろあったけどね」
梁塵はそれかrあこっちにおいで、とガレージから外へと案内してくれた。タバコは口にいつの間にか戻っていた。




