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第146話
緒方の疑問は、病室の前にたどり着いたころにようやく解けた。
放出は岸本を壁際へと追い込んでいた。
「おや、上官さん。やっときたのね」
忙しくしている病棟は4人部屋だ。
その一角ではたくさんの看護師さんらが働いている。
はす向かいになるようにして北山は、ベッドに横になっている母親へとちらちら視線をやりながら、それでもケラケラと笑っているのをやめない。
「北山、逮捕する。貴方には黙秘権が……」
「あー、はいはい。権利の告知ってやつでしょ。よく知ってるわ。言っとくけど、逮捕したからといっても弁護士呼ばれるまで何もしゃべらないからね」
北山は言いつつも、壁際をじりじりと動いている。




