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第117話
「壁際を探してくれ。電気のスイッチが欲しい」
階段からの光でほの暗く部屋の中は観察できるが、それ以上の情報が欲しくて緒方は平塚と放出に頼んだ。
階段から降り立ったあと、明らかに緒方は魔術を使いづらくなっているのを感じていた。
まるで床が吸い取っているかのような感覚である。
そこで物理的に明かりをつけようと思い、頼んだのだ。
「これですかね……」
放出が壁際をごそごそしていると何かのスイッチを見つけたらしい。
カチッと音が聞こえると、パチパチと何回か点滅をし、天井からつるされていた複数の蛍光灯が光った。
「ああ、良く見えるよ」
緒方はつぶやいて、部屋の中央を見た。
頭には麻袋がすっぽりと被されて、簡素なパイプ椅子に後ろ手で縛られて動けないようにされた人がいた。




