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第114話
緒方は歩きながら建物の中を探していた。
目印にしていたのは、先ほどから追跡をしている生命反応だ。
「おや、もう逮捕していたか」
しかし、一つしかなかったところには、すでに平塚が縛り上げて、猿ぐつわも付けて犯人を捕縛し終えていた。
「班長、やっときましたか」
「ああ、遅れてすまないな。外の連中を黙らせるのに少してこずってな」
だが、と緒方は犯人を立たせながら言った。
「少々乱暴じゃないか」
「暴れましたもので、こうしないとこちらが危険でした」
平塚が手に持っているのは紙切れ一枚だった。
すでに無効化されているが、あきらかに紙質から御札だということがわかる。




