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魔術師の功罪  作者: 尚文産商堂


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第10話

 電車に乗り、それから手野警吏所に戻った。いったん、部屋に向かい、そして所長室へと4人で向かう。

「失礼いたします」

 ノック3回、所長室にまず入るのは班長である緒方。それから副班長である放出が続き、平塚と根来はほぼ同時に部屋へと歩み進んだ。待っていたのは所長と、それと初老の男性が1人。右袖の上腕部には大阪警視庁のエンブレムのワッペン、そして制服として着用されている肩には国内ではただ二人にのみその着用が許されている階級章が燦然と輝いていた。

「一同、警視総監に対し、礼!」

 所長が4人が横一列になったのを確認してから声をかける。室内礼として腰を曲げ、ほぼ正確に15度前傾した。直れ、という号令で元の姿勢に復すると、警視総監は休めと命令する。一応は別組織ではあるが、警吏庁と警視庁が相互に協力する義務を負っている関係上、大阪に設置されている警察組織である大阪警視庁の、それも最上職の警視総監に対する敬意は持たなければならない。

「所長、これで全員か」

「はい警視総監。この4身が専従班です」

「よろしい。班長は緒方君であったね」

「はっ、自分が此度(こたび)の合同捜査班の班長を務めさせていただいております、緒方正史といいます」

「では緒方君、貴殿を正式に合同捜査班班長として認め、今後、必要な協力を実施することを約束する。また、副班長として放出警部補を充て、根来警部補、並びに平塚警吏官員をそれぞれ班員とする人事も、同時に発令する。正式な書類については後刻送付するが、これをもって大阪警視庁に関しても、合同捜査班を設置することとする」

「はっ」

 敬礼を再び行い、その辞令を謹んで受け入れた。緒方が再び顔を上げた時に、警視総監は所長にも伝えておくこととして話しはじめた。

「それで、だ。魔術ドラッグの捜査ということではあるが、ここまで大規模にしているものといえば危険ドラッグ関連、あるいは麻薬関連がある。そこで、組織犯罪対策本部や厚労省麻薬取締部などに話を聞いてみたところ、一つの組織が浮かび上がってきた」

 A4で2枚の、ホッチキス止めされた紙を回し読みするように伝える。そこにはある組織が書かれていた。

「河菱会といえば、確か手野グループと関連があるといわれている、日本最大の暴力団組織ですよね」

「そうだ。だがそれは親の組織にすぎない。実際にはその下部組織が今回の目標になる」

 日本最大の暴力団組織である河菱会は、その本拠を兵庫県の阪神地域においている。地元での評判は上々で、実はその地域の治安維持にも貢献しているという噂だってある。その河菱会の現会長と、手野グループの創業者一族である手野家の現当主は昔からよく知る仲であるということという話があり、そのため、手野グループは表向きの実力組織として手野武装警備、裏向きの実力組織として河菱会を保有しているという都市伝説がある。

「この下部組織は無数にありますが……」

「2枚目を見てほしい。河菱会の3次組織に当たる方東組(かたひがしぐみ)だ。ここは違法薬物の売買を、大阪府北部を中心にして展開しているとされている組織だ。本拠地は大阪府手野市桜町だ。これが何を意味しているかは、君らも知っているだろう」

 4人は一斉に嫌な顔をして見せたが、それもつかの間のこと。すぐに元の真面目な表情へと戻った。

「となると、負犬地区ですか」

 資料には、2次団体として登録されているのは世古主基会(よこすきかい)だとある。この下に方東組はいるようだ。そして、負犬地区と聞いて、警視総監はそうだ、といわんばかりにうなづいた。

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