出会い
第二章
重力に逆らい、高く高く跳び上がる。そのまま木々に向かって急降下し、丈夫そうな枝に掴まった。弾みをつけて隣の木に飛び移りながら、移動を開始した。
追っ手の身体能力がどのくらいのものかわからないが、転生により進化を続ける者の中には驚異的な聴力や視力により空間認知に長けている者もいる。簡単にはまけないだろう。
しばらく行くと、山の麓が見えた。もう身を隠せる木々がない。
ー仕方ない。
袋の鼠になる可能性は高い。しかし追っ手の目をくらますことができる可能性だってある。岩肌と岩肌の間に洞穴が見えた。私はそこへと身体を滑り込ませたー
呼吸が、心臓が、うるさい。
私は深呼吸を心がけたが上手くいかない。汗が伝う背中が気持ち悪かった。
洞穴の中は真っ暗で、どのくらいの広さかは分かり兼ねた。
私は入り口の近くでうずくまり、呼吸を整えていた。もしバレても、即座に反応して入り口にいるやつらに一撃いれて全速力で逃げればなんとかなるんじゃないだろうか。微妙な作戦だが、逃走などしたことがない。考えつくのはこんなものだ。
しばらく自分の呼吸と向き合っていた。だから気づかなかったのだろうか。
ー背後の人影に
「おい」
刹那呼吸が止まった後、飛びあがった。1メートルほど距離をとる。
誰!?追っ手!?何故そこにいる!?
私はファイティングポーズをとる。もちろん、喧嘩はしたことない。身体能力頼みだ。
「下手な構えだな」