成長せず16年経った私は国を飛び出し運命相手を見つけます!
筆者初投稿なので優しい目と心で読んでいただけると幸いです。
男「申し訳ないがこの話は無かったことにしていただきたい。」
そう言ったのは見合い相手である伯爵家の跡取り息子だ。年齢は18歳エーデルの2歳年上で栗色の髪に草色の瞳の優しそうな顔立ちをしている。今は困ったような申し訳なさそうな表情をしていた。
メイドが用意したお気に入りの紅茶を飲みしばらく
経ったところでエーデルは話しだした。
エ「…私、侯爵家の娘ですが。」
男「…はい。」
エ「どう考えても貴方の家にとって利益しか無いと思
うのだけれど…。」
男「…確かにそうですが、」
エ「…が?」
男「その…見た目が…」
再び2人の間に沈黙が流れた。
エーデルを見ながら遠慮がちに言われたその言葉は醜いからとか、太っているからではなくエーデルの幼少から成長しない体が原因だった。
大きな琥珀色の瞳にふわふわの白い髪。整った顔立ちに将来美人になる事は間違いないと思われる容姿だが、彼女は既に16歳だった。
エ「…こんな姿ですが、立派な淑女です。」
如何にも子供と言った、鈴の音のような可愛らしい声でエーデルは眉をしかめながら文句を言った。
男「それは存知あげているのですが…申し訳ない。やはり貴女とは婚約できそうにない。それに、貴女はフローリアの祝福子。私と結婚しても子供はもうけられない。」
フローリアの祝福子は運命のかさねと出会うまで子供の姿のまま成長しない。しかし大半の祝福子はその相手と出会わずに一生を終えてしまう。ずっと子供のまま。
エ「確かにそうですが、私ももう16歳なのです。私はッ…。」
結婚したい。両親のようにお互いを慈しむ素晴らしい夫婦に子供の頃から憧れていた。私もいつかあんな風になりたい。そう思いながら過ごして16年。未だに婚約者すらいない。それもこれもこの呪いのせい。祝福なんか言われるけどいい事なんて起こった事ない。
エーデルは俯いたまま肩を震わせていた。
男「…貴女の“運命のかさね”が見つかることを祈っています。…失礼します。」
そういうと見合い相手は一礼して去っていってしまった。
…なんで、私はこんなの望んでない!運命?祝福?
それがなんだって言うのよッ!
ジニー「お嬢様…。」
一部始終を見ていたメイド、ジニーは心配そうに主人に駆け寄るとエーデルは地につかない浮いた足をバタつかせながら怒りをあらわに叫んだ。
エ「運命のかさねがそう簡単に見つかるはずないじゃない!!!この世界に何人男がいると思ってるのよおおおおおおおおおお!!!!!」
主人が悲しんでいると思っていたジニーは、呆れながらエーデルを諌めた。
ジニー「お気持ちは分かりますが、侯爵家の娘がはしたないですよ。」
エ「でもっ…叫びたくもなるわよ!何回目の失敗だと思ってるのよ!!」
ジニーは無情にも冷静に告げる。
ジニー「今回で12回目です。」
エ「…私はただ結婚して幸せな家庭を築きたいだけなのにっ!なんで!!なんでなのよぉぉ!!」
エーデルは困っていた。
10歳から見た目が成長しない自分に。
そして、結婚をするという夢がこの姿のままであれば確実に叶わないということに。
なんで成長しないのよ!
神様!!祝福とか大丈夫です!だからどうか大人にして下さいいいい!!そして、結婚させて下さい!
エーデルは侯爵令嬢ではあってはいけない位叫んでいた。
着実に結婚から遠のいていく主人を憐れに思いながらジニーは1人分のカップを片付けていた。
お読みいただきありがとうございました!