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8話 最後で最初(カケル視点)

俺らの歯車は、どこで狂ったんだろう。入学直後でタクミという友達に恵まれ、後にチホとも友達になれた。俺のどこがいいのか、チホは俺に好意を寄せてくれるようになった。

可能性があるとすれば、そこからだろう。

俺はその気持ちに気付いてから、ずっと無視し続けてきた。チホはそれに気付いていて、ずっと気付いていないフリをして、隠していたんだろう。

俺にも分からないほど強力な抑制力で……。

ごめんなタクミ。ごめんチホ……。お前らが道を踏み外したのは、全部俺のせいだ。俺にもっと責任感があれば、すべて清算してお前らともエルともちゃんと向き合っていけたのに……。


「チホ……。」


教室に1人残っていたチホに声をかける。


チホ「あれ?カケル?どしたの?そういえば怪我はもう大丈夫なの?」


チホが俺に気付いて振り向く。


チホ「タクミは?今日休んでたみたいだけど……。」


このままチホに何も言わずにいたら終わってくれるかもしれない。けれどそうすればまたみんなから逃げることになる。


「チホ……、もう終わりにしよう……。」


驚いている顔が見える。確実に不意打ちが決まった。


チホ「何の話をしてるの?」


俺も信じていたかった。けれど目の前のチホの笑顔は、あまりにも笑顔にみえない。その動揺が俺にとっては確信へと繋がり、同時に寂しさがこみ上げる。


「タクミが俺を殺すよう仕向けたのは、お前だろ。」


チホは無表情で俺の言葉に耳を傾ける。そして突然バックをあさったかと思うと、ナイフを取り出す。


チホ「あーあ、私自身はエルちゃんしか殺す気無かったのになぁ。」


鋭利な刃は、人を通れば確実にただじゃ済まない。


チホ「カケルにバレちゃったかぁ。最後に私を選んでくれれば殺さなかったのに。」


予想はできていた。チホの精神状態は、今はもう普通じゃない。殺しに来てもおかしくなかった。

だけど逃げるわけにはいかなかった。今逃げれば、また俺は間違えるから。俺はチホに近付く。


チホ「どうして……?」


「ごめん……、ずっと逃げてきたから。誰かを好きになるのが怖くて、無視し続けてきたから。だから……、もうここで逃げるわけにはいかないんだ。」


いつかまた、3人で笑いあいたいと思うから……。


チホ「遅いんだよ……。今さらそんなの……。ずっと無視したくせに、そんなのずるいよ……!」


ここまで苦しませたのに、まだチホは俺を好きでいてくれている。だからもうすべて話して、すべて終わりにしよう……。


「俺は……、エルが好きだ……。」


ようやく自覚した俺の気持ちを伝える。今まで抑制していた想いは、驚くほど心に馴染む。


チホ「ここまで好きなのに……、結局カケルは私を選んでくれないんだね……。もういいよ、もう分かったから……!お願いだから……、もう死んで……。」


チホがナイフを俺にふりかざす。


チホ「どうして……。何で死んでくれないの……。」


痛い……。ナイフを掴む手が痛みで麻痺する。妙に生温かい血が手から下へと流れ落ちる。


「俺のことを好きでいてくれた人を、人殺しになんかさせたくないから。こんな俺なんかよりもっと良い人と、未来で幸せになってほしいから。」


多分、今起きたことは《無》にすることはできない。チホは殺人未遂で捕まるだろう。けれど捕まるにしても、未遂であれば未来はあると思うから。


チホ「何でそんなに優しくできるのよ……。どうして自分を殺そうとした相手に優しくするのよ……。」


以前の俺なら、絶対に分からなかった。けど今なら答えられる。ちゃんと自信を持って。


「どうであろうと、チホは大切な友達だから。これからもずっと変わらない友達だから……。」


ずっと1人で戦い続けてくれてありがとう、タクミ。

また俺たちは一緒にいれる日が来るだろうか。お前がずっと抱えた想いはちゃんと終えたよ。



チホはあの後、すぐに警察のもとへ送られた。校長もすべて分かっていたのだろう。俺はその日、校長室に呼ばれることはなかった。


「失礼します。」


忘れていた手の痛みが蘇り、俺は保健室による。


「あの、すみません。消毒と包帯を……。」


と中をのぞくと、1人の少女と目が合う。


エル「カケル……さん……?」


エルは俺を見るなり、すぐに涙を流す。そして驚くことに、ほとんど間髪入れず俺に抱きつく。


「あの……、エルさん……?唐突すぎて状況が分からないんですけど……?」


エルはどう思ってこうしてるか分からないが、俺からしてみれば好きな人に抱きしめられてることと同じだ。


エル「良かった……。本当に良かった……。カケルさんが生きててくれて、お礼も言えずに亡くなったらって……、ずっとつらくて……。」


エルはずっと責任を感じていたんだ。俺が原因でエルを危険な目にあわせたのに、エルは自分のせいで俺が死んだらと、ずっと気にしていたんだ。

本当に俺は、この人を好きになってよかった……。

迷った末に、俺はエルを優しく抱きしめた。血が流れていて、手は麻痺するほど痛かったが、エルに血がつかないよう気にするだけで、痛みはもうどうでもよくなっていた……。

最後まで見ていただき、ありがとうございます!

今回も短めで完結する予定のため、次の章が最終章のお話になります!ぜひラストまで見てください!

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