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7話 隠した思い(カケル視点)

??「ダメだよ、目の前の人を守りたいからって自分が真っ先に撃たれるような行動は。」


薄暗い、学校のような場所で、俺は1人の知らない女の人にそう言われる。

けれど不思議とその人の名前だけは知っている。


「ナノ……さん……?」


ナノ「自己犠牲……、私が好きな人もあなたに似てるの。だけど今は違うかな。」


誰のことを言っているんだ?この人は一体何者なんだ?ここはどこなんだ?

考えても何も分からない。


ナノ「とにかく君は想いも伝えずに死んでいる場合じゃないでしょ?」


優しく笑うその人は、どこか悲しそうだ。


ナノ「じゃあね、トオルによろしくね。」


トオルさんの知り合い?

全てが整理できないうちに俺は目を覚ます。

少し固いベッドに枕、白い壁にカーテン。病院で間違いないだろう。俺は撃たれたんだ。

あれからどれくらい経つのだろう。エルは無事だったのだろうか。そうだ……、


「エル!」


勢いよく起きたせいで傷口が痛む。


校長「エルさんなら面会時間ギリギリに帰したよ。」


その声に反応して横を振り向くと、呑気に知恵の輪を解いている校長がいる。どう見ても難易度高めの知恵の輪を10秒近くで解くところを見ると、この人のIQは計り知れないのかもしれない。


「何であなたはここにいるんですか?」


面会時間は過ぎていると言った。ここにいれる理由は校長という立場じゃ無理だ。


校長「いやぁ、君の親が海外に住んでいるって聞いてね。保護者になりえる職員といったらやはり私になると思ってね。」


意味がわからん。保護者になりえる職員って単語初めて聞いた。どういう制度?


校長「冗談はさておき、君と話さなければいけないことがあると思ってね。」


そう言う校長の表情は、いつものフェイクではなく真剣な顔をしていた。


校長「まず、エルさんを助け、守ってくれたことには感謝しよう。犯人がタクミくんとは、私にとっても盲点だった。もう少し早くパズルの意味を分かっていれば、君ならタクミくんにすぐたどり着いていただろう。」


俺が原因で、タクミの行動を疑っていたにもかかわらず、最後まで目を背けた結果エルを危険にさらした。

俺がエルを助けたことに、感謝されるのはどうしても違う気がして俺は顔を背ける。


校長「カケルくん、私は君に怒っているよ。」


その言葉に涙が出る。普段、自分のことを利用している人からの()()()言葉は、どうしてこんなにも心に染みるのだろう。


校長「確かに私はエルさんが死ななければ何でもいいと言った。けれどそれは君も同じだ。私はあの学校で学ぶ生徒には、誰にも死んでほしくない。」


本当にこの人は嫌いだ。感情を読ませないくせに、誰よりも感情に入り込んでくる。


「俺を駒とするのが、あんたでよかったよ。」


その後、俺は思うところがあって、手術前の状態と手術の経過を医師に聞いた。校長が俺の退院手続きを済ませてくれ、俺は目覚めてすぐに退院した。


校長「さて、送っていこう。行くんだろ?タクミくんのもとへ。」


やはり全て分かっているのだろう。俺はタクミの所へ校長に送ってもらうことにした。



タクミ「自分を撃った相手の面会に来るなんて、お前はどうかしてるぞ。」


俺自身も撃った相手がタクミじゃなかったら、自分がどうなるか分からないため面会になんて来ないだろう。けれど俺はタクミにどうしても聞かなければならないことがあった。

俺は溜息ひとつをつき、心を落ち着かせる。


「お前が俺を撃った()()()理由を教えてほしい。」


こいつは、自分の好きな人と向き合わずにいるからという理由で人を殺そうとするやつじゃない。

恐らくこの事件はまだ終わっていない。


タクミ「完璧に進んでいたつもりだったが……、どうしてあの理由が本当ではないと思ったんだ?」


ひとつだけ、タクミにはどうにもできない欠点が存在した。


「お前はそんな衝動で殺しをしない。悩んで考えた結果、道を踏み外すことはあるかもしれないが、お前は自分をしっかり持ってる。」


俺がチホの気持ちに向き合わずにいたら、タクミは俺を殴ることはあっても殺しはしないはずだ。そして、それ以外にそれらしい⦅理由⦆を作ることもできな

い。


タクミ「やっぱりお前はすげぇよ。どうしてそんなに人のことを理解できるんだよ……。」


少し震えている。目が潤んで、今にも泣きそうだ。


タクミ「何で死ななかったんだよ!お前が死んでれば全てが丸くおさまったのに……!」


やっぱり何か抱えているんだな……。


「俺が死んだら、お前が人殺しになるだろ。それに……、殺さなかったのはお前だろ。」


病院で聞いた手術前の状態。タクミの放った銃弾は、急所を外していた。

正直、それを聞くまでは分からなかった。こいつは俺を殺したくなかったんだ。けれど、そうしなければいけない理由があった。


タクミ「ごめん……!俺にはこうすることしかできなかった……。だからどうか……、あいつを止めてくれ……。」


泣きながらタクミは俺にそう言う。

分かってる。これは俺の問題でもある。全部終わらせよう。

そして叶うなら、もう一度最初からやり直したいな……。

最後まで見ていただき、ありがとうございます!

〈ナノ〉は前作の登場人物となっております。

よろしければそちらもご覧ください!

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