『胡蝶の翅』
黄昏草は夕顔の別名で、花言葉を切ない恋という。
胡蝶は生涯の伴侶を求めて地上を彷徨う。
自然の驚異と環境の厳しさを乗り越えて愛の踊りを舞い続ける。
黄昏草
花咲く頃は夏の宵
胡蝶の君は
愛求め
恋の旅路に
翅を漕ぐ
うつむく夕顔
あとにして
紫の翅で
身を隠し
愛を求めて
夜を渡る
季節を越えて
踊る君
風に残した
恋文に
誘われるまま現れた
源氏蛍が
寄ってきて
君を照らして
恋い慕う
蛍はいつか
力尽き
結ばれることなく
墜ちてゆく
胡蝶の君は
鳴くけれど
季節はまたも
過ぎてゆく
冬の結晶
地を覆い
木の葉の陰で
愛を待つ
季節が春になる頃に
生き永らえた
蝶が飛ぶ
花の間を舞いながら
伴侶を探す
旅に出る
愛の踊りを
嗅ぎつけて
いつかは結ぶ
旅の詩
命尽きても
君の翅
土に還って蘇る
愛を届ける
胡蝶蘭
君の想いが甦る
~了~
最後まで読んで頂いてありがとうございました。
今回は、源氏物語を題材に発想した愛の詩を書きました。