第4話:何も知らなかった雄太
1時間ぐらいずっと泣き続けた。
翌朝、俺は美緒に謝ろうと思い、美緒の携帯に電話をかけるが、
やはり出なかった。
俺は意を決して美緒が帰ったであろう美緒の実家へ行くことにした。
美緒の実家につき、インターホンを鳴らすと美緒の母親が出てきてくれた
「あら?雄太さんじゃないの?今日は美緒と一緒じゃないのね。どうしたの?」
美緒の母親は不思議そうにそう尋ねてきた。
俺にとってその言葉は違和感を感じるものだった。
ここでないなら美緒はどこに?
雄太は家族以外の美緒の知り合いにあったことがなかった。
結婚式に参加していたのも美緒の方は家族だけで、俺の方ばかりだった。
普通は、結婚した後にも友達の話が出たり、その人と遊ぶだろう。
だけど美緒にはそれがなかった。
そのため雄太は美緒が行った場所を実家しかないと思っていた。
雄太は、この時になって初めて、美緒の事を全然知らなかったことに気付いた。
そして全てを美緒の母親に話し、美緒がどこにいるか知りませんか?と尋ねた。
すると美緒の母親は、なぜか急に顔が青ざめていき、汗をかきはじめていた。
俺はその様子に変な胸騒ぎを感じてしまった。
「また来ます。美緒から何か連絡があったら教えてください」
家の近くまで帰ってきたが、さっきの美緒の母親のあの様子や
美緒の事を全然知らなかったという気付き、そして美緒の居場所、
わからないことばかりに戸惑っていた。
帰っていてくれと思いながらドアを開けるも、
やはり美緒の姿はなく更に不安感に駆られた。
それから何時間が過ぎたのだろうか、外を見ると暗くなっていた。
いつもならもうこの時間には美緒が料理を作ってくれていて、
楽しい時間を過ごしていたのに、俺はなんであんなことをしてしまったんだろう。
雄太の心には後悔しか残っていなかった。
いなくなって始めて俺は本当に幸せだったんだなと実感した。
まるで重いものを自分の背中にたくさん乗せられて動けなくなったようだった。
俺はもうこれ以上は耐えられなくなり、大事になるかもしれない。
そう感じながらも警察に電話をかけた。
しかし、数日が経っても警察からの連絡はなく、
本当に探してくれているのか疑うようになり、もう一度電話をかけた。
すると「事件性のない行方不明者の捜索は行っておりません。」と言われ、
もう手立てはないことを理解した。
雄太はいつか美緒がひょっこり帰ってきてくれることを願った。




