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第3話:美緒の喪失

近くのファミレスでご飯を食べた後、今日は絶対に家には帰らない。

と心に決め、携帯を開いた。

すると美緒からの着信が100件以上入っていたが、

それに掛け返すことはせずに、高校時代の親友に電話をかけた。

「あ、薫!悪いんだけど、今日泊まれるか?」

「雄太、久しぶり!って泊まれるかって、

お前、美緒さんと喧嘩でもしたのか~」

「そうだな。やっぱ無理か?」

「いや、全然大丈夫だよ!話聞いてやるよ。場所わかるよな?」

「ああ、わかる。本当にごめんな」

「おう!気にすんなって。またあとでな」

「ありがと」

電話を切り、早速薫の家へと向かった。


「おう。雄太本当に久しぶりだな。入って」

薫は笑顔で俺を迎え入れてくれた。

「いきなりで悪かったな。ありがとう」

もう一度、俺は謝罪と感謝をした。

「それで~、美緒さんと何があったんだ?結婚するって言われた時は、

見ず知らずの女と結婚して大丈夫かなぁとも思っていたけど、

この前の結婚式の時のお前らを見たら、いい人だと思ったんだがな~」

薫は心配そうな表情のまま、聞いてきた。

「ああ、そうだよ。いい人だよ・・・いやいい人すぎるんだよ」

「だったらどうして喧嘩したんだ?」

俺は全てを薫に伝えると、薫は真面目な顔のまま、俺の頭を叩いた。

「ああ、ひどいな。」

「美緒さんが、じゃないぞ。お前がひどい!」

なんで親友なのにこんなことを言われなければいけないのか、分からなかった。

「お前さ、冷静になってよく考えてみろよ。

なんで美緒さんがそんなことをしたのか」

「お前が落ち込んでいるのを見て、なんとかしてあげたい。

と思ったんじゃないのかよ!」

薫は続けさまにそう言った。

俺もそう言われて、よく考えてみた。そうだった。

美緒はいつも俺のことばかりを考えてくれた。

いきなり足を治す代わりに結婚を持ちかけてきたときは驚いた。

治した後に何かされるのではとも思った。

だから最初は美緒とあまり話もしなかったし、顔も合わせなかった。

でもだんだんとその優しさに癒されていったんだ。

今回のことだって美緒は俺のためにわざわざ父親の取引先に

電話をかけてくれたのに、俺はなんてことをしたんだ。

今まで美緒がしてくれた事を思い出し、後悔のあまり涙を流した。

「わかったなら早く家に戻って美緒さんに謝ってやれ。

お前の帰りを待っているはずだ」

薫はそう言いながら、送り出してくれた。

「今度来た時は楽しい話題にしろよな。」

俺はこの時ほど友達に恵まれたと思うことはなかった。

「ああ、また来るよ。本当にありがとうな」


薫の家を出てから、俺は無性に美緒に会いたくなった。

帰ったらすぐに謝ろう。そしてあの笑顔をまた見たい。そう思いながら走った。

家を出てから4時間が経っていた。もう23時を過ぎていた。

自分の家の電灯だけが付いている状態だった。

家の前にたどり着いたのだが、後悔が俺に圧し掛かって、

足が動かなくなってしまった。

もしも家に帰ったら、美緒がいなくなっていたらどうしよう。

実家に帰っていたら。そんなことを考えていたからか結局

ドアを開けるまでに30分もかかってしまったが、意を決して家に入った。


入った瞬間これでもかという大声で

「美緒!さっきは本当に悪かった。ごめん」と叫んだ。

しかし何の返答もなかったため、やはり美緒は本気で怒っていると思いながら、

リビングへと行った。しかし、美緒の姿はどこにもなかった。

俺はまさか出て行ったのかという最悪の結末が頭をよぎりながらも、

美緒を探したが、お風呂場にも部屋にもどこにもいなかった。


何の書置きも残さないまま、美緒は雄太の前から姿を消してしまった。

その結末に気付いた雄太は、出ていくときに美緒に見せられたのと同じように泣いた。



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