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手違いで異世界転移

魔王城東館一階に位置する食堂は、いつもなら兵士たちが朝食や夕食をとる場である。しかし、今夜は先の大戦で勝利したことを祝うために宴の会場として使われていた。

そんな中、二人の男女が宴の中心に座り談笑していた。


男の身長は百九十センチほど。歳は二十代ぐらいだろうか。

赤髪の中に特徴的な犬耳が見え隠れしている。このことは彼が人狼であることを如実に表していた。


美男子というよりダンディーと言われるような容姿をしており。若くして堂々としたその風格は、彼が現在の魔王軍一番隊隊長という役職につくまでの苦労を感じさせるようであった。

そんな人狼の戦士――ロットは隣に座る妙齢の女性に訝しげな視線を向けていた。


「魔王様の一番の部下? そんなこと聞いてどうするのだ?」

「ただの世間話ですよーそんな怖い顔しないでくださいってばー」


ロットの部下であり副隊長あるレクルス。彼女は突然急変した隊長の雰囲気に戸惑いつつも自らの扇のように広がる黄色の髪を掻きながら持ち前の軽さで笑いながら間延びした口調で答えた。


ロットは自分の腹心であるレクルスなら今から伝える情報も正しく扱える事を信じて、息をフーッと一息ついてから質問に応じた。


「誰だと思う?」

「うーんやはり一番は私たち兵士をまとめる鬼人オルロさまですか?」

「ありえないな! あんな戦闘狂が魔王様の一番の部下であってたまるか!」


そんな戦闘狂に育てられたからあなたは戦闘狂なんすねーとレクルスは言いたかったが、そんなことを言った日には明日の訓練が自分だけ辛くなることは、長い間ロットの部下として訓練している間に学んだので白い眼を向けるだけにとどめた。


「なんだよその目は……まあいい。いるんだよ、魔王様からもその側近たちからも絶大な信頼を置かれている部下がな」

「気難しい側近たちにまで好かれる人が居るのですか!」

「ああ、そいつの名前は…………

 

 ――――

富永翼は仕事で疲れた体に鞭を打ち帰りにスーパーにより買い物をしていた。


(また高くなっているな……)

レタスを手に取り、ツバサは先月首都圏を襲った大雪を思い出した。


(今日は仕事が早く終わったから大好きなハンバーグを作ろうと思ったのになあ。財布の中身はまだ余裕あるけど、レタスは高いし諦めてブロッコリーにしよう)


その時、ツバサは前回ハンバーグを作った時のことが思い出した。

(前回作ったハンバーグは会心の出来だった。合いびき肉に飴色になるまで焼いた玉ねぎと各種調味料を加えて作ったハンバーグに半熟に仕上げた目玉焼きを乗せ、その上に手間暇をかけて作った自家製デミグラスソースをかけた、思わず笑顔になってしまうようなものが出来たな。サチも喜んで食べてくれたし嬉しかったな)



自分の妹である幸子が笑顔でハンバーグをほおばる姿を思い出し、同時にブロッコリーが嫌いであるということも思い出した。

(もし、僕が今日レタスじゃなくてブロッコリーを出したら嫌われてしまうのではないか? だめだ、サチに嫌われたら僕は泣いてしまう!)


そんなことを思いながら、ツバサは今まで手にもち続けていたレタスをかごの中に入れた。他にも多くの食材をかごに入れレジに向かった。

「ありがとうございました」

会計を終え、そんな店員の声を後にスーパーを出た。すでに日は落ち、粘りつくような闇の濃い夜となっていた。

 

 


家に帰ると大学に通うためにツバサの家に住んでいる妹のサチコが待っていることを考えると自然と足取りは早くなった

「サチ、ただいまー」

そんな間延びした声で妹に帰宅をツバサは声をかけた。


「お兄ぃ! 助けて!」


しかし、サチから返ってきたのはツバサに助けを求める声であった。尋常ならないサチの声を聞き、ツバサはリビングに駆けた。

そこでツバサが見たのは、サチとサチの足元で光るツバサが漫画やアニメで見たことのある幾多学模様の魔法陣のようなものであった。


「サチィィ! そこを離れろぉぉ!」


そう叫びながら鬼気迫る表情でツバサはサチのことを魔法陣の枠外に出すためソファーに突き飛ばした。

「サチ! 怪我はないか!」

「お兄ぃそんなことよりそこから離れて!」


ツバサはそんなサチの叫びを聞き、その場から急いで離れようとした。しかし、気づいた時には時すでに遅く、ツバサの体は魔法陣に飲み込まれていった。




この作品が一人でも多くの人に見てもらえたら幸いです

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