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エルフちゃんの様子を見に行こうと医療施設に向うと、泣きながら走ってくるアルマちゃんが俺の目の前に現れた。
避けることは可能だったが、なぜ泣いているのかが気になる。
「アルマちゃん、どうしたんだい?」
俺の声を聞いた途端、アルマちゃんは足を止め、俺の顔を見上げてきた。そんな様子も可愛いが、すぐに屈みこんで目線を合わせる。
「あのね……あのね、スカーレちゃんに嫌われちゃったの。ハーフエルフなんて嫌いって」
「スカー……レ?」
アルマちゃんのニュアンスを探ってみると、エルフちゃんがそれに一致した。
「そっか、でもあの子は元気がないからね」
「でも……でもっ!」
咄嗟に一つのことが気になり、涙ぐんだアルマちゃんに問いを投げかける。
「ちょっと待ってくれないかな? ハーフエルフっていうのは、誰なのかな?」
その言葉を聞いた途端、アルマちゃんは頭に被っていた頭巾を取った。すると、彼女の言葉の意味が理解できてしまった。
「少しだけ尖った耳……君、エルフだったんだね」
「お母さんがエルフだったんだよ。でも、お父さんは人間だからエルフじゃないの」
「それで、隠していたんだね」
無言で頷いてきたアルマちゃんを見て、俺は一つのことを考えた。
「外で、話そうか」
城の外に出ている階段に向い、その踊り場で俺は切り出す。
「スカーレちゃんは、今までひどい扱いを受けて来たんだ。きっと、自分以外の誰も――自分すらも信じられなくなっているんだと思う」
「そう、なの?」
「うん……俺がもう少し早く助けてあげられれば良かったんだけど」
理屈で納得させて終わりにはしない。「でも、いつかスカーレちゃんが元気になった時は、アルマちゃんが友達になってあげるんだよ」
「アルマに……できるかな?」
俺は静かにアルマちゃんを抱擁し、耳元で呟く。
「ああ、きっとアルマちゃんなら友達になってあげられるよ。ハーフエルフでも、人間よりかは気持ちを理解してあげられるかもしれないからね」
アルマちゃんが泣きやみ、俺はほっと一息をついた。
それにしても、アルマちゃんは可愛いな。巫女だけはあり、どことなく品がある。
冒険者時代に貴族の娘と関係を持ったことはあるが、一国の姫クラスともなると経験がない。
よし、流れに任せてしまおう。男の仕事はムードを作ってやり、その中で心地よく踊らせてやることだ。
服に手を添わせ、素肌に触れていく。そのまま流れるような動作で服を着崩していき、彼女の耳を甘く噛んだ。
「えっ!? ぜ、善大王さん?」
「俺に任せて。大丈夫、ここなら誰も来ないから」
真剣な表情でアルマちゃんを見据え、そのまま唇を奪おうとした。だが……。
「きゃあああああああああ! 誰か助けてぇええええ」
「うおっ! ちょっと、アルマちゃ――」
びっくりした拍子に後退りをし、老朽化していた手すりに当たってしまう。不運は連鎖し、その衝撃で鉄製のそれは折れ、俺はかなりの高さから転落した。
すぐに上下の入り口から兵士らが現れ、出口が防がれる。あの場に残っていれば逃げられなかっただろうな。
静かに《魔技》を発動させ、俺は落下速度を押さえていく。
ただ、即死級の威力にならないという程度で、高度がそれなりにあったことも影響して城下町の地面に叩きつけられた。
「つぅ……ちょっとガッツキ過ぎたかぁ」
民が驚いたような顔で見てくるが、俺は一切気にせずに城へと戻っていった。
本題から逸れたな。俺が今すべきことはスカーレちゃんの容体確認だ。