表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
819/1603

6t

 ライカの進撃は驚異的だった。既に二度も目にしたからか、音速の砲撃を瞬時に避けながら、投擲のように自身を前方に向かって大きく押し進めた。

 ただの二回とはいえ、少女からすれば十分な情報量だった。

 彼女の観測能力が突出していることは明らかだが、こと電気系統の相手であるならば、ライカの観察能力は桁違いのものとなる。


 そもそも、分析に必要なのは知識と洞察力である。知識がなければ、いくら情報を与えられても理解できず、ただの無駄骨に終わるのだ。

 逆に、洞察力が乏しく、得られる数値が少なければ知識を活用しきることはできない。


 だが、電撃姫にその心配はない。相手の砲台の大部分は、彼女の知識の庭の範疇にあるのだ。

 その予兆が磁力に関わっていると分かった時点で、彼女はその力から全容を逆算してみせる。

 故に、今の彼女は軽い未来予知を行っているに等しく、だからこそ攻めた進行方法さえも実行できた。


 ……無論、ライカがそうした仕組みで読みを行っているわけではない。無意識、感覚でそれらを行ったのだ。

 具体性を欠いた状態であっても、自分が納得すれば疑わずに行動できる。それもまた、子供としての純粋さが強みとなっているのだ。


「(だいたい思った通りだし。なら、これでアタシの勝ちだし!)」


 白き槍の射程内の寸前で、彼女は《魔導式》の構築を開始した。

 あちらの砲撃は充電段階。そして、人間ではないからこそ、回避や防御という切り替えも行えない。


 完成と同時に、彼女の足が有効射程内に突入した。


「《雷ノ十四番・白雷(サンダーランス)》」


 白雷が轟き、音速に肉薄する早さで対象を貫く。


「よゆーだし」


 勝ちを確信し、油断しきったライカだが、目標物の残骸が気になったらしくその場に止まった。


 圧倒的な破壊がもたらした黒煙の中、圧縮された突風の如く音が鳴り響くのが聞こえた。

 攻撃は確かに直撃し、巫女としての威力拡張も確かに機能していた。

 しかし、彼女は読みを見誤(みあやま)った。十分に破壊力を発揮できる距離であったにもかかわらず、砲台は未だ沈黙せずに充電を続けている。


 ――いや、むしろ充電は完了し、砲撃段階に移っていた。


「(まっず――)」


 両者間の距離が縮んだからか、今回の前兆は別の形で伝わることとなった。


『Five,Four,Three,Two,One...FIRE!』


 未知の言語が発せられた後、音速の砲弾は黒煙を引き裂きながら、敵対者(ライカ)に向かって放たれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ