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大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
809/1603

13e

 ――決戦当日、洋上のフォルティス艦隊旗艦にて。


 シアンは通信術式を開き、二人の王と最終調整に入っていた。


手筈(てはず)通りに進んでいますか?」

『はい、ライカも納得してくれたようで』とラグーン王。

『ミネアの士気も上々である。きっと、フレイア魂を見せてくれることだろう』

「……はい」


 フレイア王の言葉に対しては、シアンも肯定しきることができず、迷いを含めた返答となってしまった。


『……こちらの軍に不足があると?』

「いえ、ただの杞憂(きゆう)です。ただ、今回の相手がカイトの言った通りの物であった場合――大きく計算が崩れるかもしれません」

『それについては可能性は薄いかと。カルテミナ大陸は宝具といっても、核などの小規模な機関と考えるべきでしょう』

『あの男の言い分だと、巨大な船――確かクーボ(・・・)とかいう戦闘用の船であろう? あれらの兵器を搭載していた船であれば、おかしくはないのではないか?』


 ここで話題に上がっている異世界人の話題だが、ことの発端は彼が敵影を補足した時点で、それを空母(クーボ)と断定したことに遡る。

 彼が異世界人であるのは周知の事実――偶然ながら、彼は当該三カ国の王と面識があったのだ――であった為、この発言は信憑性の高いものとされた。


 ただし、その彼をしても、かの大陸ほどの巨大空母は見たことがないらしく、不思議がっていたのだ。

 《武潜の宝具》、その謎は未だに解明されていないが、その来訪する以前の世界は固定されているわけではない。幾多の異世界の何処(いずこ)からか漂流し、それが同じ世界だったとして、過去未来のどこから来るかも決まっていないのだ。

 それこそが、宝具の中でも文明力の差が存在する原因である。

 簡易なマスケット銃の(たぐい)は早々に解明されたが、ガンスミスとされる者達――ハーディンなどだ――や警備軍が運用する銃器については、つい最近まで使用さえ危険な代物だったのだ。


 カイトより未来の時代から来た宝具であるか、それとも全く別の異世界から来訪した、超技術によるものなのかは定かではない。


「一つ断言できるのは、あの船がカイトの知るものと似ているということです。対策も同様のものが使えるはずかと」

『……船底に高火力の攻撃を放つ、ですか。確かに、沈めることができればそれに越したことはありませんが』

「大丈夫です。ライカちゃんの力でしたら、十分に爆発(・・)の中から脱出できます」


 とんでもない発言が出たにもかかわらず、王達に焦りは見られない。

 この件については早い段階に決着がついており、肉親であるラグーン王でさえ認めたほどだった。


 潜行船の宝具、突進魚を用いた突入作戦。この最良パターンは突撃時の爆破攻撃――実際は雷撃(・・)だろう――を用い、大陸を沈めることだ。

 無論、それが成功しなかった場合にしても、ライカには敵船に乗り込むことで武装を無力化させる、という役目がある。


 重要なのは、突撃がおまけであるということだ。故に、ラグーン王もこれを呑んだ。

 電撃姫の本来の役割は砲台破壊であったのだが、ハーディンの手配した船が想像を絶する規模の爆薬を積んでいると知れた時点で、、急遽(きゅうきょ)としてこの作戦が考案されたのだ。


『……しかし、あの()はどのような狙いで作られたのだろうか。あれだけの航行性能を持ちながら、まるで爆弾か何かのような――』

『異世界は我々の想像以上に、修羅の地なのかもしれませんね』


 意図を探りかねたフレイア王だったが、今ここで重要なのは結果と戦力であると、考察は後回しにした。

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