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大空のフィア  作者: マッチポンプ
後編 ダークメア戦争
807/1603

11e

 ――洋上、フォルティス艦隊の旗艦にて……。


「ミネアはいねーの?」ライカは問う。

「すみません。ですが、ミネアちゃんも作戦には参加しているので……」

「ま、どーでもいいし。そんで、アタシはなにをするわけ?」


 ずいぶんとドライな対応だが、シアンからしても触れられたくない話題である為、むしろ好都合であった。


 部屋にいるのはシアン、ライカの二人。本来であればここにミネア、フィアの二名が加わり、合計四名となるはずだった。

 主力の一角が欠けたというのは、大きな損失にも思えるのだが、三国同盟の総司令でもあるシアンは落ち着いた様子である。


「ライカちゃんには、カルテミナ大陸の武装破壊をお願いします」

「へー簡単じゃん」

「……かなり危険な仕事です」


 電撃姫は破壊(・・)という単語を聞き、得意分野だと軽く見積もっていたが、歌姫は油断を是とはしなかった。


「っても、敵艦で暴れてくるだけっしょ? 余計な的もないし、アタシの得意分野じゃん」


 余計な的、というのが味方の兵である辺り、彼女も相当にひどい物言いをしている。

 ただ、彼女の場合はまさしくその通りであるからして、安易に否定することもできないのだ。


「……ライカちゃん、どうやって大陸に突入するか、予想できますか?」

「船っしょ? ……あーでも探知できるってハナシだし、小さい船?」

「海中から突入してもらいます」


 これにはライカも驚いたらしく、幼い総司令を二度見した。


「は? まさか泳いでいけって――」

「お父上から何か聞いていませんか?」

「あ? なんかスゲー船がある……とかなんとか言ってた気がするけど」


 この杜撰(ずさん)さには、シアンも頭を抱えた。


「小舟ならば探知されない、という情報は間違いであることが判明しています」

「えっ? マジ?」

「はい、マジです。いくつかの種類を試しましたが、全てが撃沈されています」


 人間が探知されている、という推測から導力による自律航行型が放たれたが、当然のように沈められている。

 僅かな導力さえ察知できる、という意見によって帆船(はんせん)を用いたものの、これもまた無力であった。


 これらがかなり小型――定員十名以内――であった為、水上からでは突破不可能、ということで結論が出たのだ。

 そして、その対応策をラグーン王が提案し、それならばと採用が決定された。……その会議にはライカも参加していたのだ。


「んで、どんな船なん?」

「《武潜の宝具》ですよ。なんでも、水中に潜る船だとか」


 こればかりはシアンも畑違いならしく、ライカの方が知っていると考えていたようだ。

 ただ、反応を見る限り、両者間に知識の差はないと見える。


「苦しくなったり……しない?」

「大丈夫、らしいのですが」

「はぁぁぁああああ? どうしてらしい(・・・)なんだし!」

「す、すみません! ですが、その船は試験運用をあまりしない方がいい……とのことで」


 ずいぶんな物言いではあるのだが、こればかりは発案元であるラグーン側にも問題があった。


「大丈夫、ですか?」

「は? ねーわ、マジない」

「マジ、ないですか……」

「つーか、聞いてくる」

「は、はい……」


 ライカは平然と――実際、かなり怒っているのだが――部屋を出て行き、会議室にはシアン一人になってしまった。


「……大丈夫でしょうか」


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