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大空のフィア  作者: マッチポンプ
中編 少女と皇と超越者
75/1603

3

「ライトの馬鹿……最低」


 フィアはただ一人、悲嘆に暮れていた。


「でも、このままだと、本当に嫌われちゃうかも……」


 他でもない、フィアは善大王に嫌われることを恐れているのだ。

 自分を城から連れ出してくれた人間であり、自分だけの王子様。どんなときでも守ってくれる、そんな理想的な存在。


「ライトに嫌われたくない。でも……どんな顔して会えばいいの」


 善大王が相手をしなかったのが悪かったとはいえ、あのような方法で逃げてしまえば嫌われてしまう、と危惧していたのだ。

 いままで引きこもり生活をしていたフィアだが、それくらいは理解していた。ただ、理解はしているが。割り切れはしない。


「ライトが謝りにくるまで、絶対に帰らないんだから」


 意地を張ったフィアは地面に座りこんだ。

 しばらく経つと腹が鳴りだした。まだ昼食をしていなかったのだ。


「どこかで食事を……」


 不意に、フィアは金を持っていないことに気付いた。城にいる限りは無料で用意されるので困らなかったが、城下町では代金が必要だ。


「お城に……いや、絶対に帰らない!」


 口では気丈に振る舞っているが、顔は困り顔になっていた。


「き、君……一人?」


 妙に口ごもったような話し方の男が現れた。中太りだが、着ている服は一般の民よりも豪華だった。


「えっ……え、まぁ……うん」


 長い引きこもり生活の結果か、フィアは対人恐怖症を取得していた。

 目線が泳ぎ、今にも会話を終わらせたいと願っているが、男は続ける。


「ぼ、僕のお家に来ない? お菓子もあるよ」

「お菓子……でも、お金ないわ」

「大丈夫。タダでいいから」


 それを言われ、フィアは安心しきった。

 これで城に戻らずに済む。さすがは光の国、善意に満ちた人達がいるものだ、と喜びながら男についていった。


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